【国際相続】外国人が日本で死亡した場合、日本の相続税を払う必要があるのか?居住年数と在留資格による違いを解説

「外国人だから日本の相続税は関係ない」と思っていませんか?実はそれは大きな誤解です。被相続人(亡くなった方)や相続人の居住状況・在留資格によって、日本の相続税が課される範囲が大きく変わります。2019年の税制改正以降、ルールが複雑になっているため、整理して解説します。


目次

【基本的な考え方】

日本の相続税は「誰が・どこに住んでいるか」によって、課税される財産の範囲が決まります。


【パターン別の整理】

パターン①:被相続人が日本に住所あり(居住年数問わず)

相続人が日本在住・海外在住を問わず、世界中のすべての財産が日本の相続税の対象になります(無制限納税義務)。ただし例外があります。以下の<例外アリ>をご参照ください。

パターン②:被相続人が日本に住所なし・相続人が日本在住

相続人側が日本居住であれば、やはり全世界財産が対象になります。

パターン③:被相続人・相続人ともに日本に住所なし

この場合は日本国内にある財産のみが対象です(制限納税義務)。


【ポイント:10年ルール】 過去10年以内に日本に住所があった場合は、海外に転出していても「日本居住者」として扱われるケースがあります。これは租税回避防止のための規定で、実務上とても重要です。


【<例外アリ>外国人特有の注意点:在留資格による区分】 2019年改正で導入された規定で、就労系在留資格(技術・人文知識・国際業務など)で日本に滞在している外国人については、過去15年以内の日本居住期間が10年以下であれば、日本国外の財産は課税対象外とする特例があります。

これは、外国人の高度人材が「日本で働くと相続税が不利になる」という問題を緩和するために設けられた規定です。

しかしながら配偶者ビザで滞在している場合には、この特例はありません。


【具体例で確認】

Aさん(米国籍)は就労系在留資格(いわゆる就労ビザ)で8年間日本に居住後、日本で死亡。相続人は米国在住の家族。 → 居住期間10年以下の就労系在留資格のため、日本国内財産のみ課税対象。

Bさん(米国籍)は永住権を取得し15年間日本に居住後、日本で死亡。 → 全世界財産が課税対象。


【まとめ】

外国人だからといって日本の相続税が無関係とは限りません。在留資格の種類・居住年数・相続人の居住地によって課税範囲が大きく異なります。特に永住者や長期居住者の相続は、日本と本国の二重課税が問題になるケースもあり、租税条約の適用も含めて専門家への相談を強くおすすめします。

プロビタス税理士法人は国際相続に取り組んでおります。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

併せてこちらもご参照ください

あわせて読みたい
実例)海外居住者が日本の相続税申告をしないといけない事例 最近、非常に珍しい案件を対応しています。周りの知り合いの税理士に聞いて回りました。できる税理士がほぼおらず、非常に貴重なんだというように思いましたので、紹介...
あわせて読みたい
visaによって税額が増加!?在留資格に関する知っておきたい国際相続の知識 在留資格は配偶者ビザで大丈夫ですか?もしかしたら莫大な相続税を払うことに?在留資格を更新する前に知っておきたい国際相続の豆知識です。 在留資格とは、外国人が日...
あわせて読みたい
実例)日本在住の外国人が亡くなった場合の相続税・手続きを税理士が解説 | プロビタス税理士法人 日本在住の外国人のご両親に不幸があったら、相続税はどうなるのか?世界的には相続税がない国も多く、不安に思われる外国人の方も多いようです。実際にあった事例をご...
あわせて読みたい
外国人が日本の不動産を持ったまま死亡した場合、相続人に相続税の申告義務が生じることをご存知ですか... 海外にお住まいで、最近ご家族(親・配偶者など)を亡くされた方へ 亡くなった方が日本の不動産(土地・建物・マンション等)を保有していた場合、あなたには日本で相続...
あわせて読みたい
Japan Inheritance Tax & how long stay in Japan: A Pattern-by-Pattern Guide for Foreign Nationals 1. Why 'Domicile' Is the Most Important Concept in Japanese Inheritance Tax In Japan's inheritance tax system, where the deceased (decedent) and the heirs we...

関連記事

目次