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(国際相続の実例)日本在住外国人の方。海外在住のご両親に相続が発生したら?

目次

日本在住の外国人のご両親に不幸があったら、相続税はどうなるのか?世界的には相続税がない国も多く、不安に思われる外国人の方も多いようです。実際にあった事例をご紹介します。先日相談に来られたお客様の実例です。

質問

日本在住の外国人の方 (仮マイクさん)。日本滞在は約3年、マイクさんは日本語が話せません。

その日本滞在中に、お父様に不幸があったということ。お父様は日本に住んだことがない外国籍の方(海外在住)です。

お父様が死亡し、相続が発生したみたいで1000万円ほどの金額を受け取ったということでした。相続税申告の必要の有無について、ご質問を受けました。

ヒアリング

ヒアリングすると、ある日突然、マイクさんは現地の弁護士からメールを受け取ったということ。

そのメールの内容は、「遺言に基づき、あなたは遺産をもらう権利があります。その金額は1000万円です。」とだけ書いてあったようです。

マイクさんの兄弟に確認したところ、ほぼ同じ金額を受け取ったけど、詳細はよくわかっていない、ということでした。

その弁護士に連絡を取ってみても、言っていることが良くわからず、理解できなかったということでした。

検討

相続又は遺贈によって、日本の居住者が遺産を取得すれば、それは海外であっても日本の相続税の対象になります。

まずはマイクさんの相続税法上の納税義務を検討します。

被相続人であるお父様は外国籍で、日本に居住していない非居住被相続人のため、相続人が「居住無制限納税義務者」に該当すれば、全世界の遺産が相続税の対象になります。逆に相続人が「居住制限納税義務者」に該当すれば、日本国内の遺産のみが相続税の対象になります。

詳細は以下をご参照ください。

検討した結果、マイクさんは居住制限納税義務者に該当することが判明しました。

相続税の納税義務の検討

マイクさんは居住制限納税義務者に該当しますので、受け取った金銭のみが相続税の対象になります。

マイクさんの兄弟は海外在住であったので問題ありませんでしたが、もしご兄弟も日本在住で金銭を受け取っていたら、その金銭も相続税の対象になります。

そのうえで基礎控除の金額を控除します。

被相続人の親族関係を確認して、日本の民法で定める方法で相続人の数を確定し、基礎控除の額を確定します。

本来は親族関係まで確認すべきでしたが、基礎控除の額が最低3000万円であり、相続税の対象となる遺産の総額が3000万円以下であることが明らかでしたので、更なる判定はしませんでした。確定申告書の提出も不要です。

遺産の額が大きかった場合

マイクさんの場合は、基礎控除以下でしたので、比較的簡単でした。

ただし、

・居住制限納税義務者であったとしても、受け取った金銭が基礎控除以上であった場合

・判定の結果、居住無制限納税義務者に該当して、全世界の遺産が課税対象となる場合

この場合は、相続税の申告が必要になります。とても煩雑になることが多いです。該当する場合には、早めにご相談していただけましたら幸いです。

この記事の執筆者

片山 康史

税理士 / 中小企業診断士

プロビタス税理士法人代表。 「自分の知識と経験で皆を幸せに」をモットーに、税務の問題を解決する情報を発信しています。外資系企業向けの国際税務が得意です。