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ジョイントアカウントの税務上の取り扱いについて解説します

目次

アメリカ帰国者の相談を受けると、良く話を伺うのがジョイントアカウント (Joint Account)です。アメリカでもカルフォルニア州(CA)など一部で認められているようです。夫婦財産共有制度です。日本でも民法で認められているようですが、ほぼ実例を見たことはありません。

ジョイントアカウントでは、夫婦の共有名義にて銀行口座を開設できる制度です。ジョイントアカウントに対する日本の国税庁の明確な通達や指針が公表されているわけではありません。ここからは私の経験による私自身の考えであり、確定申告の際は税務署や税理士にご確認ください。

贈与税の取り扱い

日本の相続税では、夫婦間の財産は共有するという考えはありません。財産を”支配”しているというイメージだと考えています。

仮に奥様が無収入の場合にジョイントアカウントを開設した場合、ご主人がジョイントアカウントに入金した際にすぐに贈与税が課税されるとは考えていません。みなし贈与に該当するかの疑念はありますが、実質的にこの資金を支配しているのはご主人というのが実態のことがほとんどのはずです。ご主人が支配しているのであれば、贈与の事実は発生していないと考えています。

もちろん奥様が引き出して資金を使うこともあると思いますが、生活費の範疇であれば、それも贈与税の課税対象にはならないと考えます。生活費の範疇を超える多額の資金を奥様が使った場合に、贈与税のリスクが生じると考えます。

所得税の取り扱い

利子が生じると思います。その場合、居住者であれば利子所得の申告が必要です。

仮に奥様が無収入の場合にジョイントアカウントを開設した場合、その場合は利子所得は2人で申告するのではなく、ご主人が100%利子所得として申告のが現実的な対応と考えています。

相続税の取り扱い

贈与税の取り扱いに準じます。形式的に口座名義が夫と妻の共有であったとしても、遺産を2分の1にするのではなく、経済的実態を勘案して分割するのだと考えています。ジョイント口座の管理支配を実質的にご主人が行っているのであれば、それはご主人の財産遺産として整理されると思います。

いずれの局面においても、経済的実態に即した申告をすべきと考えます。

経済的実態としては以下を踏まえた総合的な判断です。これらも検討せずに、単純に半分を申告というのは認められないと考えます。(検討した結果として半分を申告というのは大丈夫だと思います)

・口座開設の経緯

・口座に入金した金額の総額とそのお二人の割合

・出金した金額の使途と出金に係るお二人の割合

国税庁が公表している情報

その他、ジョイントテナンシーに関しては国税庁が質疑応答事例集を公開しています。

以下を読む限りにおいては、日本の相続税・贈与税の観点からは、日本の居住者になってから、ジョイントテナンシーを購入すべきではないと言えます。

ハワイ州に所在するコンドミニアムの合有不動産権を相続税の課税対象とすることの可否

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/02/07.htm

海外財産を合有(ジョイント・テナンシー)により取得した場合の課税関係

https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/65/07/index.htm

この記事の執筆者

片山 康史

税理士 / 中小企業診断士

プロビタス税理士法人代表。 「自分の知識と経験で皆を幸せに」をモットーに、税務の問題を解決する情報を発信しています。外資系企業向けの国際税務が得意です。