実例)海外居住者が日本の相続税申告をしないといけない事例

最近、非常に珍しい案件を対応しています。周りの知り合いの税理士に聞いて回りました。できる税理士がほぼおらず、非常に貴重なんだというように思いましたので、紹介いたします。

目次

案件の概要

10年以上前にアメリカに移住した家族のお話です。

家族構成はお父様と息子様2名です。お父様がお亡くなりになり、相続が発生しました。そのお父様は東京に不動産をお持ちでした。

本件の場合の相続の手続きはどうなりますでしょうか?なお、この記事は2024年5月に記載しています。

日本の相続税の納税義務者

日本の相続税において、納税義務者は2つに分けられます。

  • 無制限納税義務者
  • 制限納税義務者

詳しくはこちらをご参照ください。

なお、日本語の情報は多くあふれていますので、英語で記載したものを紹介いたします。

本件の場合

制限納税義務者に該当すると考えます。

制限納税義務者については、国内財産のみが相続税の相続財産に該当します。国外財産については、相続税の課税価格に含める必要はありません。

また相続財産から控除できる債務は、その人が取得した国内財産に係るものに限られます。葬式費用については控除できません。

その他の留意点 確定申告書の提出場所

  • 被相続人が死亡時の住所が日本国内の場合には、その被相続人の住所地
  • 被相続人が死亡時の住所が日本国外の場合で、相続人が日本居住者の場合には、相続人の住所地
  • 被相続人が死亡時の住所が日本国外の場合で、相続人が日本国外の場合には、相続人が定めた場所

(相続税法62条)

その他の留意点 

  • 相続人が国外居住の場合、納税管理人を定めないといけません。
  • 遺産分割協議書に添付が求められる印鑑証明書が必要になります。
  • 住民登録をしていない場合、印鑑証明書がありませんので、日本領事館等でサイン証明を入手する必要があります。

日米相続税条約の適用の検討

本件の場合、以下のことが考えられます。

日本の相続税法上、制限納税義務者については未成年控除及び障碍者控除は認められていません。しかし日米相続税条約においては、制限納税義務者についても、未成年者控除及び障碍者控除の適用が認められます。ただ一定の制限はあります。

米国遺産税の基礎控除額の拡大があるそうです。ただ本件については、アメリカの会計事務所にご確認ください。

二重課税の調整が認められています。この場合の二重課税調整額は、相続税法上の外国税額控除の額と日米相続税条約上の外国税額控除の金額のいずれか大きい金額とされます。

最後に

国際相続の案件で最も重要なことは、国によって相続税等の制度が全く違うということです。したがって現地の最新の税制を正確に把握することが必要です。当然に現地国の専門家を相互に関与しながら、かつ連携しながら一つの案件に対応していく必要があります。プロビタス税理士法人は、アメリカの会計事務所と連携しながら、日本サイドの相続案件の対応することができます。

この記事の執筆者


税理士 / 中小企業診断士

プロビタス税理士法人代表。 「自分の知識と経験で皆を幸せに」をモットーに、税務の問題を解決する情報を発信しています。外資系企業向けの国際税務が得意です。

関連記事

目次