海外資産を保有している場合の相続税申告の注意点と税務調査

国外財産を保有する相続税調査が厳しくなっているようです国外財産を保有す相続税で、税務調査が一段と厳しくなってきているということ。

以下日程新聞の記事です。

税務調査において特に力を入れているのが、国外財産や相続で取得した土地の評価に関する申告が適正かどうか?

資産を海外に移す富裕層が円安で増えているほか、地価が上昇するなか土地の相続税上の評価額が時価に比べ大幅に下回る例が増えているためです。

オフショア投資と呼ばれるものですが、オフショア投資は相続税の税務調査においても必ず確認されるポイントです。いずれも多額の追徴課税につながる可能性があります。税務署が注目するポイントを紹介します。

もし海外口座の解約をご検討であれば以下をご参照ください。

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相続があった場合の海外口座解約の支援のお手伝い - プロビタス税理⼠法⼈ 海外口座解約支援の概要 お亡くなりになった方が、海外に金融口座を保有しているケースが増えてきました。その口座の情報を収集したり、また海外送金をしたり解約しなけれ...
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海外に保有する銀行口座情報

上記の日経新聞の記事の引用です。国税庁によると、日本人が海外に持つ金融口座は22年度に法人も含めて約253万件と20年度の約191万件から3割強増えたとのこと。国税庁は18年度から各国・地域の税務当局と金融口座の情報交換を本格化し、預金や有価証券の残高、利子・配当の受取額といった詳細な情報を入手している。経済協力開発機構(OECD)が策定した共通報告基準(CRS)に基づくためCRS情報とも呼ばれます。

詳細は以下をご参照ください。

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一方、個人は毎年12月末時点で国外財産が5000万円超あると、財産の種類や金額などを記した国外財産調書を税務署に提出する義務があります。22年末の提出件数は1万2494件と9年連続で増え、金額は計5兆7222億円と過去最高となりました。

税務署はCRS情報と国外財産調書などを照らし合わせ、申告漏れや過少申告の国外財産がないかを調べます。国外財産調書が提出されていないと、過少申告加算税の税率が5%上昇します。税務調査の効率も上がるため、国外財産調書の提出の有無はとても重視しています。

海外資産投資を行っている人が亡くなった場合において、相続税で注意すべきポイント

海外資産に投資している方が亡くなった場合、相続税に関していくつかの重要なポイントがあります。これらのポイントを理解することは、相続手続きをスムーズに進め、税務上のリスクを最小限に抑えるために非常に重要です。

1. 居住地の判断

  • 被相続人(亡くなった方)および相続人の居住地が、相続税の適用範囲に大きく影響します。日本の税法では、被相続人が死亡時に日本に居住していた場合、全世界の財産が相続税の対象になります。一方、被相続人や相続人が日本に居住していなかった場合、日本国内の財産のみが課税対象となることがあります。
  • 居住地の定義や適用には複雑なルールがあるため、具体的なケースについては税理士や専門家に相談することが重要です。

詳細は以下をご参照ください。

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2. 海外資産の評価方法

  • 海外資産の評価額をどのように算定するかが重要です。日本では、海外資産も含めた全財産の時価(公平な市場価格)を基準に相続税が計算されます。
  • 評価方法は、資産の種類(不動産、株式、現金など)や所在国によって異なるため、正確な評価を行うためには、各国の評価基準や市場価格を把握しておく必要があります。
  • 納税者はどうすればいいでしょうか?まず申告前に国外資産で漏れがあったり、土地の評価額が低すぎたりしないかなどを確認することが大切です。すでに申告を終えていて申告漏れの資産などがあるなら、税務調査の通知がある前に自主的に修正申告をすることも考えましょう。調査で指摘を受けてから修正すると、延滞税に加えて加算税の税率も上がります。

3. 二重課税の回避

  • 同じ資産に対して、日本と海外の両方で相続税が課される可能性があります。この場合、二重課税を回避するために、日本が締結している税条約を確認することが重要です。
  • 税条約に基づく免税措置や、外国税額控除の適用を検討することで、二重課税を回避または軽減することが可能です。

外国税額控除については以下をご参照ください

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日米相続税協定 - プロビタス税理⼠法⼈ 日米相続税条約について紹介します。租税条約というのは多く存在しています。ただ相続税に関する条約は、アメリカとしか存在していません。これは日本の相続税が特殊であり...

4. 申告義務

  • 海外資産を含む全資産の申告が必要です。日本の相続税法では、課税対象となる財産については、たとえそれが海外にあっても正確に申告しなければなりません。
  • 申告漏れや誤りがあった場合、罰則や追徴課税のリスクがあるため、慎重な対応が求められます。

5. 現地の相続法と手続き

  • 海外資産が所在する国の相続法や手続きも理解しておく必要があります。各国で相続手続きが異なり、日本の法律と異なる規定があることが多いです。
  • 特に、不動産や株式などの資産は、現地の法律に従って相続手続きを進めなければならないため、現地の法律専門家と連携することが重要です。

6. 為替リスク

  • 海外資産の評価や処分時には為替リスクが伴います。相続時の為替レートが相続税の計算に影響を与えるため、為替の変動に注意が必要です。
  • 資産の評価時期や税支払時期における為替レートを正確に把握し、それに基づいて計算を行う必要があります。

これらのポイントを踏まえて、適切な対応を行うためには、税理士や国際税務の専門家に相談し、事前に対策を講じることが非常に重要です。

プロビタス税理士法人は国際相続に力を入れています。もし疑問に思われることがあればお気軽にお問い合わせください。

この記事の執筆者


税理士 / 中小企業診断士

プロビタス税理士法人代表。 「自分の知識と経験で皆を幸せに」をモットーに、税務の問題を解決する情報を発信しています。外資系企業向けの国際税務が得意です。

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