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日米相続税協定

目次

日米相続税条約について紹介します。租税条約というのは多く存在しています。ただ相続税に関する条約は、アメリカとしか存在していません。これは日本の相続税が特殊であり、相手国との制度がかなり異なることから、相互の理解および調整がかなり困難だからだと思います。日本とアメリカの相続税も全く異なります。日本の相続税は財産取得者である相続人が納税申告義務者となる方式である遺産取得課税方式です。しかしアメリカは、被相続人が余裕する財産自体を申告する遺産課税方式を採用しています。とは言え、日本とアメリカの人員の往来は大きく、相続税に係る二重課税を排除したいという目的で、日米相続税条約「遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約」が締結されています。

条約ですので、国内法税に優先して適用されることになります。

  • 対象税目

対象税目は日本の相続税・贈与税と米国の連邦遺産税・連邦贈与税です。州税の相続税・連邦税は対象となりません。

第三条 財産の所在地

国際相続・国際贈与においては、遺産財産の所在地が問題になることがあります。日米相続税条約においては、財産の所在地において統一的な定めを置いています。

例えば、貸付金債権であれば、日本の相続税では債務者の所在地ですが、日米相続税条約では債務者が居住する場所とされていて、微妙に異なります。

第四条 控除の配分

日本の相続税法上は、非居住者の場合、制限納税義務者は未成年控除及び障碍者控除の適用がありません。ただ日米相続税条約については一定額の適用が認められています。

また米国遺産税の基礎控除額も、日米相続税条約の適用によって拡大されるようです。

第五条 二重課税の調整

日本の相続税法でも外国税額控除の制度はあります。ただ日米相続税条約でも外国税額控除の制度が設けられていて、適用できるのはいずれか大きい方とされています。財産遺産が日本とアメリカにしかない場合には効果がないですが、日本とアメリカ以外に財産遺産が存在する場合には、日米相続税条約を適用した方が有利になります。

第六条以降

情報交換及び徴収、相互協議などが定められています。ただ相続税を申告するという観点では、重要性は低い項目になります。

この記事の執筆者

片山 康史

税理士 / 中小企業診断士

プロビタス税理士法人代表。 「自分の知識と経験で皆を幸せに」をモットーに、税務の問題を解決する情報を発信しています。外資系企業向けの国際税務が得意です。