はじめに
外資系企業に勤務されている方の多くが受け取っているRSU(Restricted Stock Unit:制限付株式ユニット)。
社内説明会を受けて、自分で確定申告をしてみようと思った、しかし申告後に「税務調査の連絡が来た」「追徴課税が来た」というご相談が後を絶ちません。

本記事では、プロビタス税理士法人が実際に対応してきた案件をもとに、RSUの確定申告でよく起きるミスと、その防ぎ方を解説します。
もしこの記事を読んで理解できたのであれば、ご自身で確定申告できます。しかし、もし理解できなかったのであれば専門家に依頼される方が良いかもしれません。
そもそもRSUの確定申告が難しい理由
RSUは給与所得・譲渡所得の2段階で課税が発生するため、通常の給与や株式投資と比べて申告構造が複雑です。
- VEST時点:給与所得として課税(源泉徴収されていない場合がほとんども、ごくまれに源泉徴収されている場合も)
- 売却時点:譲渡所得として課税(取得価額の把握が難しい)
- 外国税額控除:海外で源泉税が引かれている場合、二重課税を避けるための申告が必要
この3つが絡み合うため、「源泉徴収票を見ながら入力するだけ」では到底完結しないのがRSUの実態です。RSUの税務詳細はこちらをご参照ください。

ミス1:Vest時の給与所得を申告していない(または二重計上している)
RSUがVest(権利確定)した時点の株価が、給与所得として課税対象になります。
よくあるミスのパターンが2つあります。
パターンA:そもそも申告していない
勤務先が源泉徴収していない場合、Vest時の給与所得が年末調整にも確定申告にも反映されないことがあります。「証券会社から書類が来たから売却分だけ申告した」という方に多いケースです。
税務署はRSUのVest情報を把握しています。無申告は絶対にバレます。無申告が発覚するとペナルティ(延滞税・過少申告加算税)が課されます。

パターンB:二重計上してしまう
勤務先が年末調整でVest分を給与に含めている場合、確定申告でさらに同じ金額を計上すると二重課税になります。給与支払報告書や源泉徴収票の内訳を必ず確認してください。
ミス2:譲渡所得の取得価額を間違える
RSUを売却した際の譲渡所得は、「売却価格 ー 取得価額 ー 売却手数料」で計算します。この取得価額の把握を誤るケースが非常に多いです。
RSUの取得価額は「Vest時の時価(給与として課税された金額)」です。購入価格ではありません。ここを「0円で取得した」と誤解したまま申告すると、譲渡益が過大に計算されて余計な税金を払うことになります。
また日本の税制上は移動平均法で取得価格を算出します。海外の制度とは違います。証券会社が計算したキャピタルゲインの金額をそのまま使えないのも間違えがちなポイントです。
ミス3:外国税額控除の申告漏れ
配当を受け取る場合には、海外で源泉徴収されることがほとんどです。海外で支払った源泉所得税は日本で外国税額控除を受けることができます。
ただその外国税額控除の仕組みはとても複雑です。その適用を間違えているケースを本当によく見ます。
加えて、アメリカの場合には特殊な論点が存在します。詳細はこちらをご参照ください。

ミス4:ESPP・ストックオプションと混同する
RSUのほかにESPP(従業員株式購入制度)やストックオプション(SO)を付与されている方も多くいます。それぞれ課税のタイミングと計算方法が異なります。
| 種類 | 課税タイミング① | 課税タイミング② | 所得区分 |
| RSU | Vest時(給与所得) | 売却時(譲渡所得) | 給与+譲渡 |
| ESPP | 購入時(給与所得) | 売却時(譲渡所得) | 給与+譲渡 |
| ストックオプション(税制非適格) | 行使時(給与所得) | 売却時(譲渡所得) | 給与+譲渡 |
複数の株式報酬を持っている場合、混同して申告してしまうと大きな誤りにつながります。

ミス5:為替レートの換算を間違える
RSUは外貨建てで付与・Vestされることが多く、日本の確定申告では円換算が必要です。
この換算レートについて、「売却時のレートを使えばいい」と思っている方が多いですが、正しくはVest日(権利確定日)の為替レートで給与所得を計算し、売却日のレートで譲渡所得を計算します。
昨今は為替レートの変動も大きいので、適用する為替レートを間違えると、大きなミスにつながります。
まとめ:RSU確定申告のチェックリスト
- ベスト時の給与所得が年末調整または確定申告に含まれているか確認する
- 譲渡所得の取得価額は移動平均法で計算されているか?
- 外国税額控除の申告書に間違えはないか?
- RSU・ESPP・SOを混同せず、それぞれ正しい課税タイミングで申告しているか
- 為替レートはVestの日・売却日それぞれの為替レートを使っているか
プロビタス税理士法人にご相談ください
プロビタス税理士法人は外資系企業勤務の方のRSU・ESPP・ストックオプションの確定申告を専門に多数対応してきました。「自分で申告してみたが合っているか不安」「過去分の申告が間違っていたかもしれない」というご相談も歓迎します。有料にはなりますが、過去5年分の確認をすることも行っております。
まずはお気軽にお問い合わせください。






