これは2025年6月時点の記事です。
賃上げ税制の適用をお考えでしょうか。
外資系企業でも当然に賃上げ税制は適用できます。でも外資系企業だけは要注意の論点があります。適用する前に、資本関係について注意しましょう、という記事です。では、まずは賃上げ税制についてご紹介しましょう。
賃上げ税制とは
賃上げをすると、前年と比して増加した分の一部が、その事業年度の法人税から控除できる、という制度です。賃上げ税制については、他のサイトでも税理士の先生がたくさん記事を書かれていますので、細かい部分については割愛します。
令和7年(2025年)3月決算法人から、繰越控除の仕組みも導入されました。今までは黒字企業で、かつ賃上げしていた法人だけが対象でしたが、今後は赤字の企業でも検討しなければならなくなりました。
詳細な賃上げ税制の説明は、中小企業庁のホームページがわかりやすいとおもいますので、こちらをご参照ください。
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai.html
中小企業向け?中堅企業向け?大企業向け?
でも外資系企業の場合、一つ気を付けなければならないことがあります。
賃上げ税制は会社規模に応じて、制度が全く異なるのです。
- 中小企業向け
- 中堅企業向け
- 大企業向け
中小企業の定義は以下の通りです。
以下ガイドブックから引用
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青色申告書を提出する者のうち、以下に該当するものを指します。
(1)以下のいずれかに該当する法人 (ただし、前3事業年度の所得金額の平均額が15億円を超える法人は本税制適用の対象外)
①資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
ただし、以下の法人は対象外
・同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円超の法人、資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人超の法人又は大法人(資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人等)との間に当該大法人による完全支配関係がある法人等をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。)から2分の1以上の出資を受ける法人
・2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人
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中堅企業は特殊で、今回は説明を省きます。
外資系企業の注意点
外資系企業で一番気を付けなければならないことはその規模分類です。
中小企業と大企業の分類ですが、まずは資本金の額で分類します。
資本金が1億円以下であれば中小企業で、1億円を超えれば大企業になります。それは登記上の資本金の額で判定します。
しかし外資系企業はそれだけでは足りないのです。
外資系企業日本法人の資本金が1億円以下であったとしても、直接の親会社の資本金が1億円を超えていたら、その外資系企業日本法人は中小企業には該当しません。
なお、直接の親会社の資本金は1億円以下だけど、さらに上位の一番上の親会社の資本金が1億円を超えていることもあるでしょう。その場合は、中小企業向けの制度を使って大丈夫です。
租税特別措置法での中小企業者等と中小法人等は全く別物です。賃上げ税制を考えるにあたって大事なのは、中業企業者等ですので、間違わないようにしたいですね。
(というか、もっと制度をシンプルにしてほしいですね)