要注意!PEのない外国法人の消費税 =シンガポール法人の日本国内における仕入および売上を例に=

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問題

シンガポール法人A社(資本金1億円)は卸売業を営んでいます。日本法人B社(インボイス登録事業者)から商品を仕入れ、世界中にに販売してきました、今年度から日本法人C社へも販売することになりました。

商品は直接B社からC社に輸送しています。年間取引額は5000万円を超えています。

なおシンガポール法人は日本に一切の拠点(PE)はありません。

この場合の今年度のシンガポール法人A社の課税はどうなりますでしょうか?

法人税

シンガポール法人A社は、日本にPE(恒久的施設)がないので、日本で法人税の納税義務はありません。

消費税(本記事のポイント)

シンガポール法人A社は日本で消費税の納税義務があります。

令和6年(2024年)税制改正により、令和6年(2024年)10月1日以降に開始する事業年度から、消費税の納税義務判定が変更されます。

改正前は、基準期間、つまり2事業年度前の売上高で納税義務を判断していました。

しかし改正後は、基準期間を有する外国法人は、日本国内事業を開始した事業年度開始の日における資本金の額または出資金の額により、納税義務の判定することになりました。具体的には資本金の額が1千万円を超えていれば、消費税の納税義務が生じます(消費税法12条の2③)

シンガポール法人A社は、税制改正前であれば、2事業年度前の課税売上高がゼロなので、納税義務はありませんでした。

しかし改正後は、シンガポール法人A社の資本金は1千万円以上であるため、その後2年間の納税義務は免除されないことになります。また3年後の納税義務については、初年度の取引金額が5000万円を超えているため、3年後の事業年度についても課税事業者になることが確定しています。

その他の注意点

日本法人B社もC社も、外国法人との取引ではありますが、輸出取引ではなく、国内取引になります(食品以外であれば10%)。

シンガポール法人A社は、納税管理人を指定する必要があります。

シンガポール法人A社は、適格請求書(いわゆるインボイス)登録が必要になります。

プロビタス税理士法人のサービス

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