
- バックオフィスのコストを抑えたい
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(この記事は2024年6月に記載しています)
質問
私は中小企業のオーナーです。昨今の円安事情を鑑み、外貨の獲得を目的として海外進出を考えています。一から拠点を作るよりは、海外企業のM&Aの方が現実的ではないかと考えていますが、クロスボーダーM&Aは実績が少なく不安を感じます。海外M&Aの場合の税務上のメリットについて教えてください。
回答
令和6年(2024年)度改正で中小企業事業再編投資損失準備金制度が拡充され、中堅企業者等向けの新たな枠組み(拡充枠)が措置されました。
詳細は現時点では不明ながら、Q&Aを読む限りでは、外国企業を買収する場合も対象になると考えられます。
制度の紹介(既存枠)
中堅企業者等が一定の認定計画に基づき複数回のM&Aにより株式等を取得し、その取得価額の一定割合を準備金として積み立てた場合には、その積み立てた額を損金に算入することができます。
中小企業事業再編投資損失準備金制度は、中小企業のM&Aに係る投資リスクに備えるための措置。中小企業等経営強化法に基づき経営力向上計画の認定を受けた中小企業者が一定のM&Aにより株式等を取得し、取得価額の70%相当額以下を準備金として積み立てた場合は、その積み立てた額を損金に算入することができます。以前から存在している制度です。
制度の紹介(拡充枠)←新設New(!)
令和6年(2024年)度改正では、複数回のM&Aによりグループ一体での成長を実現できるように適用対象や積立率等を拡充し、既存枠とは別に拡充枠を設けられました。
拡充枠では、改正産競法により新設される特別事業再編計画の認定を受けた認定特別事業再編事業者が株式等を取得し、①特別事業再編計画に基づき最初に取得した株式等は積立率の90%を、② ①以外の株式等は積立率の100%を損金に算入することができます。中堅企業者等が拡充枠を活用する場合は、過去5年以内に1回以上のM&Aを行っていることが前提となります。
拡充枠の対象者
【適用対象】
青色申告法人で常用従業員数2,000人以下の中小企業者又は中堅企業者のうち、特別事業再編計画の認定を受けた事業者。
【措置】
イ 認定特別事業再編計画に従って行う最初の特別事業再編のための措置として取得をした株式等 損金算入額:株式等の取得価額の100分の90
ロ イに掲げるもの以外の株式等 損金算入額:株式等の取得価額の100分の100

Q&A
以下経済産業省が用意しているQ&Aです。
産業競争力強化法のページになります。
(Q)上場企業のみが対象ですか?
(A)大企業、中小企業など規模にかかわらず、要件を満たせば認定を受けることができます。複数の事業者が共同で計画を申請することができます。
(Q)子会社などを計画に含めることはできますか?
(A) 申請者が過半数の株式を所有する子会社等であって、事業再編のための措置を行うなど計画と関係がある場合は、『関係事業者』や『外国関係法人』として計画に含めることができます。
計画に含めることで、当該子会社等も登録免許税の軽減や中小企業基盤整備機構の債務保証等の支援措置を活用することが出来ます。
最後に
クロスボーダーM&Aにはリスクもあります。二の足を踏まれることもあるかもしれません。しかしながら、節税という税務上のメリットも用意されました。
日本と違って、海外ではクロスボーダーM&Aが活発に行われています。BOKS international内においては、クロスボーダーM&A案件が活発にやり取りされています。まだに日本では件数は多くないかもしれませんが、海外の会計事務所はクロスボーダーM&Aの経験が豊富です。売り手企業の中には日本企業が買い手になる案件も多く存在しています。
海外ではすでにクロスボーダーM&Aは日常業務として行われています。珍しいことではありません。
日本でも将来的に、クロスボーダーM&Aが日常業務になる時代が近く到来すると考えています。プロビタス税理士法人では、BOKS internationalの海外弁護士・会計事務所メンバーと協力して、クロスボーダーM&Aに取り組んでまいります。
また日本では日本国内大手上場M&A仲介企業と協業して日本の買い手企業をサポートいたします。もしかしたら興味のある売り手を見つけることができるかもしれません。お気軽にお問い合わせください。
(なお特別事業再編計画については経済産業省の担当者に聞いても、人によって回答が微妙に異なっています。実際に案件がある場合に個別具体的な対応になるというのが実際のようです。)

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