お客様から海外進出の相談を受けたときに、弊社が国際税務の専門家として考えてアドバイスをさせていただくことをまとめました。
海外進出アドバイスのポイント
1.海外で生じた利益の回収方法
一番大事なことは、海外進出の際に生じた投資をどのように回収するかということです。
海外で生じた利益をいかにして税負担を少なくした形で日本に還元するかということを考えます。
配当や利子、ロイヤリティ、そして役務提供の対価などが、海外からの利益回収の代表的な方法です。
2.進出形態
進出形態について検討します。進出形態としては以下の3つがあります。
- 駐在員事務所
- 海外子会社
- 海外子会社の支店
国際税務の観点からリスクが少ない進出方法は、まず初めに(1)駐在員事務所を設立してからの(2)海外子会社に移行する形態です。
もちろんその国での制度に依存します。駐在員事務所が認められなかったり、設置期間が限定されている国もあるようです。そして、仮に日本から出向させる場合に、ビザが取得できるかという観点も大事です。駐在員事務所だとビザが発行されないということもあるようです。
3.日本の税制
日本の法人税法の影響について検討します。海外進出の際に関連する税制として以下のものがあります。
- タックスヘイブン対策税制
- 外国税額控除
- 移転価格税制
進出先がシンガポールであればタックスヘイブン対策税制を検討しなければなりませんし、中国であれば外国税額控除(タックススペアリングクレジット、いわゆるみなし外国税額控除)を検討しなければなりません。
また進出直後は移転価格税制について意識する必要はないかもしれません。取引金額が小さいうちは、移転価格の指摘を受ける可能性はかなり低いからです。ただ取引規模が大きくなってきたら移転価格税制は意識しなければなりません。
4.現地の税法
現地の税法について情報を収集する必要があります。
外資系企業の投資を呼び込むための優遇税制を設けている国も多くあります。海外進出において使える優遇税制がないかの検討が必要です。
現地のJETROやインターネットで情報収集をします。現地の会計事務所からの情報収集も有効です。
国によって制度はさまざまです。
- 海外子会社の場合…居住者取締役要件の有無
- 駐在員事務所の場合…期間制限の有無
- 海外支店の場合…支店設置の可否と本店所在地国の選択
- 国によって、さまざまな制度があるので、事前の調査が必要です。
また是非調べておいていただきたいポイントが後2つあります。
- その国から日本への送金が容易か?
- その国からの撤退が容易か?
日本への送金方法と撤退基準は、海外進出前にぜひ決めておくべきことです。
- バックオフィスのコストを抑えたい
- 今の顧問税理士が国際税務に詳しくない、英語対応してくれない
- 会計事務所に質問しても、すぐに答えが来ない