質問
ケース1
中国に赴任していたのですが、中国赴任中に退職金を受け取りました。現在でも海外居住者です。
ケース2
米国人ですが、日本の会社に勤務した後、海外移住して、退職して米国に戻りました。アメリカに戻ってから退職金を受け取りました。
いずれの場合も20.42%の源泉所得税が日本で引かれてしまいます。この源泉徴収された税金を取り戻したいですが、どうすればいいでしょうか?
回答
日本で確定申告することによって、税金の還付を受けることができる”可能性があります”。
非居住者に対して支払われる退職金は、居住者であった期間に行った勤務の部分について、国内源泉所得相当額として支払いの際に20.42%の源泉徴収がされます。具体的には国内で行った勤務の期間により按分計算します。
この退職金は、退職所得の選択課税の適用を受けることができます。所得税法171条に定められています。一般的にはこの選択課税を選択することによって還付を受けることが多いです。
具体的には、退職金の支給を受けた年の翌年1月1日以降に行うことになります。ただ総額が確定した場合には、その時点からでも大丈夫です。事前に納税管理人を定めて、税務署に届け出る必要があります。
確定申告書には源泉徴収をされた事実の説明となるべき事項を記載した明細書を添付することになります。一般的には非居住者に支払われる給与・報酬、年金及び賞金の支払調書を添付します。
注意点 所得控除について
注意点としては所得控除は受けることができません。基礎控除も適用がありません。なので結果として還付にならない可能性もあります。実際に試算してみないとわかりません。
注意点 時効は?
すでに退職された方でも、税法に規定する時効が成立していない限り所得税の還付申告が可能です。一般的には法定申告期限から5年になります。弊社にご依頼いただく場合には費用は頂戴しますが、差し引いても還付になる場合もあります。特に、多くの期間を日本国内で勤務して、海外赴任期間が短かった場合などは還付になることが多いです。
注意点 住民税は?
住民税の納税義務者はその翌年1月1日に住所を有している方になります。住所を有しているというのは住民票があることを言います。すなわち、海外居住者のままであれば住民税は納税義務はありません。
ただ一つ注意点があります。会社を退職してから、日本に帰国してきた場合です。会社を退職して、退職直後に日本に帰国してきて、住民票を入れた場合、その退職金に課税されてしまいます。
弊社では多くの依頼を受けています。弊社が依頼を受けた方で、退職直後に日本に帰国して、住民票を入れた方がいました。無事に所得税は還付を受けることができたのですが、残念ながら、退職金に対して、多額の住民税課税をされてしまった経験があります。
帰国のタイミング一つで、税金が変わってしまう事例です。もし日本帰国を検討されている方がいれば、ご相談ください。
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