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海外の未上場株式を有している方は必読! 実際の事例も紹介(個人向けタックスヘイブン税制)

個人の方であってもタックスヘイブン税制の適用があります。もし税務調査で指摘されたら、巨額の課税が発生します。知らなかったでは済まされません。
目次

最近相談を受けた事例

相談者の方は引き続き日本に居住を続ける予定です。

法人税率が低いシンガポールに資産管理会社を作って、その会社で資産運用を行うことを考えています。

シンガポールは日本と違い、金融商品の種類も多く、利回りも高いからです。日本から直接投資ができない金融商品もあるので、シンガポールで法人を作ります。

外国の未上場の有価証券を保有している場合に、注意すべきことを教えてください。

回答

タックスヘイブン税制(外国子会社合算税制)の適用により、内部留保に対して雑所得として課税されるリスクがあります。タックスヘイブン税制の適用を受けない運用を検討してください。

タックスヘイブン税制(外国子会社合算税制)

所得税法には、法人税と同じくタックスヘイブン対策税制があります。

タックスヘイブンはTax havenと書きまして、租税回避地と訳されます。そのような税金の安い軽課税国にペーパーカンパニーを設立することによる租税回避行為に対応するための制度です。

日本の居住者が、海外のそのような国に所在する法人の発行済み株式総数の10%以上を保有などした場合に適用されます。法律用語では外国関係会社と言いますが、その適用要件は複雑ですので確認が必要です。

勘違いされている方が多いですが、保有割合が100%である必要はないので、ご注意ください。10%以上保有していたら対象になる可能性があります。

次に、経済活動基準のすべてを満たすかの検討が必要になります。

経済活動基準とは以下のすべてになります

A 事業基準

B 実体基準

C 管理支配基準

D 所在地国基準または非関連者基準(業種による)

シンガポールは法人税率が約15-17%であるため、経済活動基準を満たさない場合には、タックスヘイブン税制の適用対象となります。

かつ、すべての基準を満たしたとしても、一定の株式等による配当や債券の利子などに係る所得については、受動的所得としてタックスヘイブン税制の適用となります。

ご質問のケース

資産管理会社の場合、ペーパーカンパニーであることが多く、そうであれば、上記経済活動基準を満たさないことが多いです。

仮にペーパーカンパニーではなく、実際にシンガポールで人員を採用して事業活動をしたとしても、受動的所得についてはタックスヘイブン税制の適用があります。部分合算課税と言います。

つまり日本の居住者は、日本の確定申告の際に、シンガポール法人の利益のうち配当や利子などの一定の利益に対し、雑所得として所得税が課される可能性が高いと考えます

次の質問(申告しないといけませんか?)

ご質問

法人を持っていることはバレますか?

回答

バレると考えておいた方が良いでしょう。

日本の税務当局は100万円以上の海外送金履歴はすべて把握しています。

そしてCSRに基づく情報交換を進めております。税務調査の現場でも、かなり迅速に相手国の銀行口座情報を把握された経験もあります。

また5000万円以上の国外財産を有している場合には、国外財産調書を確定申告書と一緒に提出する義務があります。その国外財産には有価証券も含まれます。

実際にバレてしまった事例紹介

2024年7月23日に「パチスロ機器メーカーパチスロ機大手ユニバーサルエンターテインメント創業者、50億円の申告漏れ…香港法人の所得を合算せず」という記事がでました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3afeefb1e7660e7aa35499d5756ef4171167a199

恐らく日本法人の税務調査で把握されたと思いますし、日本香港間の租税条約に基づき、香港側の情報を日本の税務当局が把握したのだと推測します。規模が小さかったらバレなかったのかもしれませんが、申告漏れが50億円を超える規模は、何らかの形でバレてしまうだろうという感想です。

最後に

税務調査で、税務調査官から「タックスヘイブン税制の適用がありませんか?」と指摘されたら、本当に大変です。

海外に資産管理会社など未上場会社の株式を保有されていて、不安に思われている方はお気軽にご相談ください。

この記事の執筆者

片山 康史

税理士 / 中小企業診断士

プロビタス税理士法人代表。 「自分の知識と経験で皆を幸せに」をモットーに、税務の問題を解決する情報を発信しています。外資系企業向けの国際税務が得意です。