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=補助金・助成金=元補助金審査員が語る起業の際のお勧め補助金・助成金

目次

はじめに

この記事を読んでいらっしゃる方は起業を考えておられると思います。

いままでサラリーマンをしていて、いざ起業するとなると不安でいっぱい。プロビタス税理士法人は2013年2月に創業しましたが、東日本大震災の後で、その際の企業は不安で仕方がなかったという経験があります。その不安を軽減するためにももらえれば有難いのが補助金や助成金。

実は代表である片山は、中小企業診断士であることもあって、以前とある補助金の審査員をしていました。その審査員の経験も踏まえて、起業の際にお勧めの補助金・助成金をご紹介いたします。

そもそも補助金・助成金って?違いは?

補助金も助成金も、国や地方公共団体から支給されます。返済不要の有難いお金です。

<助成金>

助成金は要件を満たせば受給できる可能性が高いです。例えば厚生労働省の所管している「雇用調整助成金」がありますが、要件を満たした事業者には原則給付されます。

また助成金は要件を満たせばすぐ支払われます。

<補助金>

これに対して補助金は採択件数や金額が予め決まっているものが多く、審査があります。申請したからといって必ずしも受給できるわけではありません。審査で落ちてしまうことになります。

補助金は後払いがほとんどです。まずは事業者で経費を支出した後に、要件を満たせばその一部が負担されることになります。資金繰りがとても重要です。

お勧めの助成金

キャリアアップ助成金

お勧めの助成金は1択です。キャリアアップ助成金です。

有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(以下、「有期雇用労働者等」という。)の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するものです。アルバイトや派遣社員を正社員化した際には、絶対に活用したい助成金ですね。
 

 正社員化 
 支援 
 正社員化コース  有期雇用労働者等を正社員化
 障害者正社員化コース  障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換
 処遇改善 
 支援  
 賃金規定等改定コース  有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し3%以上増額 
 賃金規定等共通化コース  有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定等を
 新たに規定・適用
 賞与・退職金制度導入コース  有期雇用労働者等を対象に賞与または退職金制度を導入し支給
 または積立てを実施
 社会保険適用時処遇改善コース
(令和8年3月31日まで) 
 有期雇用労働者等を新たに社会保険に適用させるとともに、
 収入を増加させる(手当支給・賃上げ・労働時間延長)
 または、週所定労働時間を延長し、社会保険に適用させる

お勧めしない補助金

まずは補助金のうち、お勧めしない補助金を紹介します。

(1)事業再構築補助金

新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する補助金です。

最近は採択率の低下とともに、仮に採択されても補助金が支払われないケースも良く聞くようになりました。

申請するにしても多大な労力を要しますし、仮に採択されたとしても補助金が支払われる保証がありません。

私の周りの補助金コンサルタントの友人に聞いても、「事業再構築補助金はもうやめた」という声を聴きます。したがって、事業再構築補助金はお勧めしません。

(2)ものづくり補助金

中小企業等による生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金です。

こちらも最近は数年前に比べれば、採択率は落ちてきています。

また補助金の金額が大きいこともあり、社歴のある製造業の方が採択率が高く、創業したての企業は採択されにくい印象があります。

もちろん起業直後の会社でも、ものづくり補助金の採択されたことはありますので、申請自体を否定するわけではありません。

やはり税金を投入するわけですので、その補助金によって新しい産業が創出されたり、または雇用が生まれることが大事です。創業したての会社は、その点のアピールが難しく、社歴の長い会社に負けてしまうことがあるかもしれません。

(3)創業補助金

創業を予定していたり、創業直後の方を対象とした補助金です。創業直後は必ず検討される補助金だと思います。人件費や賃料も対象となる、かなりレアな助成金です。

ただお勧めではありません。

理由は申請の大変さと採択率の低さです。

例えば東京都であれば、東京都が指定するスクールの授業(“特定創業支援事業”と言います)を受けて、修了する必要があります。それが一つの要件ですが、その結果の採択率は10%程度です。頑張って授業を受けて、その結果不採択の可能性が90%ほどあるということです。スクールを受けている時間があるのであれば、営業活動などをした方が効果的ではないかと思ってしまいます。

お勧めではありません(あくまで個人的の感想です)。

お勧めの補助金2つ

(1)小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取り組みや、業務効率化の取り組みを支援するために、その経費の一部を補助するものです。販路拡大し、売上アップを目的とした計画が対象になります。あと補助される経費については、Webサイトだけではダメなど、複数の要件があるので、募集要項を熟読してください。

小規模事業者持続化補助金の採択率は約60%程度です。40%ほどは不採択ではないかと思うかもしれませんが、聞く話によると、それは形式的な要件を満たしていない申請がかなり多いからのようです。たとえば税務署に開業届を出していなかったり、確定申告書の控えを保管していなかったり、という形式的な要件を満たしていないのです。逆に考えれば、形式的な要件を満たしていれば、採択される可能性がかなり高いと言えます。

ものづくり補助金は、社歴の長い会社の方が有利な傾向があると書きました。小規模事業者持続化補助金は創業直後の個人事業主・法人には加点があります。したがって、創業直後でもお勧めの補助金です。

申請書類を作成するコツ

他の人に事業計画をプレゼンテーションする気持ちで作ってください。

・なぜその事業を始めようと思ったのか?

・自分の強みは何か?

・外部環境で追い風になるのは何か?

・なぜその事業は成功すると思うのか?

自分の思い込みだけではなく、複数の方に見てもらってください。

見てもらう人がいなければ、商工会議所に行って相談してみてください。形式的に商工会・商工会議所の指導を受けることは必須なのですが、実際に指導員や専門家の方に見てもらって、独りよがりな計画になっていないか、第三者が読んでも理解できる計画かというのをチェックしてもらってください。

図表を入れるなどしてわかりやすくすることも重要です。審査員は短期間で大量の書類を審査します。わかりやすく記載することはとても重要です。

審査員の立場で考えると、補助金は税金ですので、その補助金の費用対効果が高いものに対して、高い点数を付けたいと考えます。費用対効果が高いというのは、その補助金によって大きく売上が向上する、新しい雇用を生み出す、ということです。

(2)IT導入補助金

絶対に活用したいのがIT導入補助金です。最近のIT導入補助金の採択率は70%を超えています。

プロビタス税理士法人ではマネーフォワードを積極的に活用していますが、マネーフォワードの導入にもIT導入補助金は使えます。

ただ注意点があります。創業直後は利用することができません。1度は確定申告をしていることが条件になります。

プロビタス税理士法人自体の活用例でいうと、このWebサイトを立ち上げる際にIT導入補助金を使いました。もともと片山はSEであったこともあり、自分でWebサイトを作成していたのですが、鳴かず飛ばずだったので、専門の業者にお願いして、Webサイトを再構築しました。合計で100万円ほどかかったのですが、そのうちの60万円ほどを補助していただきました。

最後に

創業直後は、ありとあらゆることを自分で行わないといけません。創業直後に「補助金・助成金」ばかり仰る方で成功している方をあまり見たことがありません。補助金・助成金のために時間がとられるというのは本末転倒と考えます。なるべくお手軽に獲得できる補助金・助成金をご紹介いたしました。

プロビタス税理士法人は、補助金の申請支援代行も行っております。お気軽にお問い合わせください。(なお地方自治体や民間団体が実施している補助金・助成金は対応していません)

この記事の執筆者

片山 康史

税理士 / 中小企業診断士

プロビタス税理士法人代表。 「自分の知識と経験で皆を幸せに」をモットーに、税務の問題を解決する情報を発信しています。外資系企業向けの国際税務が得意です。