港区で税理士・会計事務所に相談するなら、プロビタス税理士法人へ

国際税務 知っておきたいキーワード27個

国際税務のことなら、プロビタス税理士法人。外資系企業100社以上の実績。インバウンド/アウトバウンドや外国人の確定申告に強み。

損をしない国際税務。もしかしたら大幅に税金が減るかもしれません。税金の負担が少なくなる方法を国際税務の専門家が一緒に考えます。
税負担が軽くなる方法を国際税務の専門家が一緒に考えます。英語対応により海外親会社への税務申告、書類作成もアウトソーシングで請け負う事が可能。

外資系企業や海外子会社の設立などの国際事業拡大に対し、専門的な知識を要する国際税務のサポートを提供します。海外への事業拡大に関してご検討の方へ。専門家による安心の国際税務。
目次

国際税務において、ちょっと聞いたことはあるけど詳しくはわからない、という言葉。そのような言葉があるから、国際税務は”とっつきにくい”のかもしれません。

そのようなキーワードの簡単な解説集を作成しました。英語も併記しています!

1.移転価格税制 Transfer Pricing taxation

企業が海外の関連会社やグループ企業(国外関連者)との間で海外取引を行った場合に、その取引によって生じる所得の移転が、適正な取引価格(独立企業間価格 arm’s length price)で行われ、適正な課税が実現するための税制。

各国の課税当局が移転価格税制による課税を強化する流れが強まっており、海外展開する企業が海外子会社との取引を行う際に、必ず検討しなければならない項目となっている。

2.外国子会社合算税制  Controlled Foreign Company Rules

タックスヘイブン税制ともいわれる。内国法人や居住者が軽課税国に所在する会社を通じて取引を行う場合に、その軽課税国を経由することにより税負担を不当に軽減回避し、結果として課税を免れる事態に対処するため、一定の外国関係会社の所得や内部留保を内国法人等の所得とみなして、これを合算することにより課税する制度である。

このタックスヘイブン税制の適用を受けないためにも、適用除外基準の充足可能性の検討は必須である。なお、諸外国においても同趣旨の制度(CFC rules)が導入されていることが多い。

3.外国子会社配当免税制度 Foreign Devidend Exclusion

一定の資本関係のある海外子会社からの配当については、国外所得免除方式に基づく外国子会社配当免税制度により二重課税を排除している。

日本の制度では、持株割合25%以上かつ保有期間が6か月以上の外国子会社株式に係る配当が95%非課税となる。ただ当該制度が適用される外国子会社配当に係る源泉所得税については外国税額控除の対象とならないことは注意したい。

4.外国税額控除 Foreign Tax Credit

外国子会社からの配当以外の所得について、海外で納付した外国税額を自国の税額から控除する制度である。ただし外国税額の範囲は厳密に定められており、外国税額控除の適用ができるのかは事前の確認が必要であるのとともに、納付の証明書などの事前準備も必要となる。

こちらの記事も参考にしてみてください。

海外で税金を支払ったんです…でも、その税金は取り返せます!=外国税額控除=

5.過少資本税制 Thin Capitalizaion

内国法人等がその国外支配株主等から資金提供を受ける場合において、国外支配株主等から資本金の出資ではなくて、過大な借入を行うことによる租税回避を防止する制度である。

過大な借入に係る支払利息は損金算入を認めないというものであり、日本のみならず諸外国でも同趣旨の制度が導入されている。

6.過大支払利子税制 Earning Stripping Rule

過少資本税制同様に、過大な支払利息の計上に制限をかけるものである。過少資本税制が資本に比して過大な負債がある場合に適用されるのに対し、過大支払利子税制は、所得金額に比して過大な利子を関係会社間で支払うことによる租税回避を防止するための制度である。

7.居住者/非居住者 Resident/Non-resident

居住形態により個人を居住者又は非居住者に区分し、その区分に応じて、日本で課税される所得及び課税方法を決定する。

詳細はこちら

8.居住者証明書 Certificate of Residence

自国の納税者であることを証明する、税務当局が発行する証明書。特典制限条項がある租税条約の適用を受ける場合に、租税条約の届出書に添付することが求められる。

実務上は、支払先である外国法人が申請を行うものであることや税務当局での発行に時間がかかることが多いので注意が必要である。

9.原価基準法 Cost Plus Method

移転価格税制における独立企業間価格算定方法のうちの基本三法の一つ。

国外関連者取引に係る棚卸資産の購入/製造等による取得原価の額に利益の額を加算した額をもって、独立企業間価格とする方法である。コストプラス法ともいい、簡便的な方法である。

10.源泉税 Withholding tax

国際取引において、外国企業に対し利子や配当、工業所有権などの使用料(いわゆるロイヤリティ)を支払う場合などには源泉税が課税される。その外国企業との間に租税条約がある場合には、通常は源泉税が免除や軽減されるため、租税条約の適用を検討する。

11.恒久的施設 Permanent Establishment

外国法人又は非居住者が事業を行うために設けた一定の施設又はそれに準じるものである。一般的にはPEと呼ばれ、国内法においては支店PE、建設PE、代理人PE、4号PEが定められている。国際税務を考えるにあたっての基本となるものである。

12.国内帰属所得/国内源泉所得 Domestic Attribute Income/Domestice Sourced Income

外国法人又は非居住者が課税の対象となるものである。以前は源泉地主義に基づく国内源泉所得と呼ばれていたが、2016年の税制改正により帰属主義に基づく国内帰属所得と呼ばれている。

13.再販売価格基準法 Reseal Price Method

移転価格税制における独立企業間価格算定方法のうちの基本三法の一つ。

国外関連者取引に係る棚卸資産の買い手が第三者に対して販売した対価の額から通常の利益金額を減算した金額をもって、独立企業間価格とする方法である。

14.事前確認制度 APA -Avanced Pricing Agreement

内国法人が国外関連者と取引を行う場合に、その取引に係る移転価格に関して、その企業が設定する独立企業間価格およびその算定方法の妥当性を、税務当局から事前に確認を受ける制度である。

事前確認には3種類あり、1か国の税務当局からの確認を受ける国内APA(Unilateral APA)、2か国の税務当局から確認を受ける二国間APA(Bilateral APA)、3か国以上の税務当局から確認を受ける多国間APA(Multilateral APA)がある。

15.税源浸食と利益移転 BEPS -Base Erosion and Profit Shifting

多国籍企業による租税条約やハイブリッドエンティティ等の国内の課税制度と国際的な課税制度のミスマッチを利用して、所得をタックスヘイブン国に移転する税務戦略。

BEPSの問題に対応するため、OECD加盟国を中心に議論が進んでいて、日本においては、そのBEPSの議論を踏まえた税制改正が行われている。

16.相互協議 MAP -Mutual Agreement Procedure

日本もしくは海外子会社の所在地国における移転価格税制課税よりの国際的な二重課税が生じた場合に、これを排除する目的で、租税条約の相互協議条項に従い、日本の税務当局と相手国の当局の間で行われる政府間協議のことを言う。

17.租税条約 Tax treaty

健全な投資や経済交流の促進を目的として主に二国間で締結する租税に関する条約である。

一般的には、居住者の定期、制限税率、二重課税の排除、特典条項、情報交換、相互協議などの状況が設けられている。

18.地域統括会社 Regional Headquarters

多国籍企業において、本社がすべての海外子会社の事業を管理するのは無理がある。そのため地域ごとに統括会社を設けて、本社機能の一部を持たせるが、その会社のことを言う。(特にタックスヘイブン税制において)

19.駐在員事務所 Representative office

現地国における情報収集のみを行う事務所である。したがって営業活動は行わない。一般的には恒久的施設であるPEには該当しない。なので法人税の申告義務がないのが一般的である。

20.直接税/間接税 Direct tax/Indirect tax

利益に対して課税されるのが直接税である。法人税や所得税は直接税である。

それに対して取引等の行為に課税されるのが間接税である。消費税やVAT、GST、増値税、印紙税などが挙げられる。

21.独立価格比準法 CUP法 Comparable Uncontrolled Price Method

移転価格税制における独立企業間価格算定方法のうちの基本三法の一つ。

特殊関係にない売り手と買い手がその国外関連取引と同様の取引を行った場合の対価の額をもって独立企業間価格とする方法である。

22.独立企業間価格 Arm’s Length Price

移転価格税制における適正な価格または第三者間取引価格をいう。算定方法の基本三法は、独立価格比準法(CUP)、再販売価格基準法(RPM)および減価基準法(CP)となっている。

23.取引単位営業利益法 TNMM – Transactional Net Margin Method

移転価格税制において、国外関連取引から得られる営業利益の水準に注目してその国外関連者の対価の額を算定する方法を言う。

棚卸資産の厳密な類似性が要求される独立価格比準法や売り手などが果たす機能等の類似性が要求される再販売価格基準法および原価基準法に比べて、TNMMが用いる営業利益率はそれらの要素の影響を受けにくいと考えられている。

したがって独立企業間価格を算定するにあたって広く使われている方法である。

24.付加価値税 VAT -Value added Tax

日本の消費税(Consumption tax)に相当するものであり、EUにおいてはVATが相当する。シンガポールやマレーシアではGST (Goods and Services Tax 物品サービス税)と呼ばれ、中国では増値税と呼ばれている。アメリカではSales Taxと呼ばれており、州税/市税に該当する。

25.米国納税者番号 Employer Identification Number

W-8BEN-Eという書類は米国源泉徴収および報告に関する最終受益者の外国人証明書と訳され、日米租税条約における源泉税の免除等の適用を受ける場合に、米国の外の法人がそのことを証明するために使用する。

W-8BEN-Eに記載に必要なのが米国納税者番号 Employer Identification Number(EIN)である。米国納税者番号 Employer Identification Numberを取得するためには、EIN取得申請書”Form SS-4(Application for Employer Identification Number)”を米国内国歳入庁(IRS)に提出する。

26.利益分割法 Profit Split Method

移転価格税制における独立企業間価格算定方法の一つである。基本三法以外の方法。日本の移転価格税制においては3つの方法が認められている。

  1. 比較利益分割法 Comparable Profit Split Method
  2. 寄与度利益分割法 Contribution Profit Split Method
  3. 残余利益分割法 Residual Proft Split Metod

27.リバースチャージ Reverse Charge

日本の消費税において、企業間取引における電気通信役務を受ける場合に適用される制度。

本来はサービスを提供する側が消費税の納税義務があるが、一定の場合には納税義務が逆転し、サービスを受ける側が消費税を納税する。もともとはEUのVATで適用されていたものである。

この記事の執筆者

片山 康史

税理士 / 中小企業診断士

プロビタス税理士法人代表。 「自分の知識と経験で皆を幸せに」をモットーに、税務の問題を解決する情報を発信しています。外資系企業向けの国際税務が得意です。