【ブログ記事案】租税条約の「特典条項(LOB)」とは?〜特典条項がある一覧のリスト付き〜

目次

はじめに

海外企業と取引をしたり、海外子会社から配当を受け取ったりする際、源泉所得税を軽減してくれる「租税条約」。しかし、「条約を結んでいる国の会社なら誰でも恩恵を受けられる」というわけではありません。

近年の租税条約には、「特典条項(LOB条項)」という厳しいフィルターが設置されていることが増えています。今回は、実務で重要となるこの条項の基礎知識をわかりやすく解説します。

最後に特典条項がある国の一覧をまとめています。


1. 特典条項(LOB条項)とは何か?

LOBとは「Limitation on Benefits」の略で、直訳すると「特典の制限」です。

租税条約の本来の目的は、二重課税の排除です。しかし、これを悪用して、条約を結んでいない第三国の居住者が、有利な条約を持つ国に「ペーパーカンパニー」を作り、不正に税金を安く済ませようとすることがあります(これを条約漁り:Treaty Shoppingと呼びます)。

トリーティーショッピングを防ぐために、「本当にその国の居住者として実体があり、特典を受ける資格があるか?」を判定するのがLOB条項です。

「形式的に登記がある」だけでは、源泉税の免除は受けられなくなっているのです。最低限、その相手国で確定申告をして納税している必要があるのです。


2. 特典を受けられるのはどんな人?(主な適格要件)

LOB条項で「適格者」と認められるには、主に以下のような要件のいずれかを満たす必要があります。

  1. 居住者である個人
  2. 上場会社とその子会社
  3. 政府機関、中央銀行、公的年金基金など
  4. 能動的事業活動要件(Active Conduct of a Trade or Business)
    • その国で実際に事業を営んでおり、支払われる所得がその事業に関連していること。
  5. 所有権および支払侵食要件(Ownership and Base Erosion Test)
    • 50%以上の持分が適格者によって所有されており、かつ利益が第三国へ流出していないこと。

3. 実務上の注意点:特典条約に関する届出書

日本の居住者が海外からの配当等について相手国で減免を受ける場合、または日本の会社が海外へ支払う際に源泉税を免除する場合、「租税条約に関する届出書」に加えて、「特典条項に関する付表(Form 17)」などの提出が必要になります。

この付表では、「どの適格要件に該当するのか」をチェックし、根拠資料(居住者証明書や株主名簿など)を添付しなければなりません。


4. まとめ

「租税条約があるから源泉税はゼロになる」と思い込んでいると、後からLOB条項に抵触することが判明し、思わぬ追徴課税を受けるリスクがあります。

  • 相手国との条約にLOB条項が含まれているか?
  • 自社(または相手先)は「適格者」の要件を満たしているか?

特にグループ内再編や新しい国との取引を開始する際は、事前に専門家へ確認することをお勧めします。

特典条項が定められている国のリスト(2026年3月時点)

以下が2026年3月時点で特典条項が定められている国の一覧です。

なお日々更新されていますので、最新の情報は適宜確認していただければ幸いです。良く話がある国の中では、中国や香港、シンガポールが入っていないですね。

※条約によっては、すべての所得が対象になっていないものもあります。例えばアメリカはすべての所得が特典条項条約ですが、そうではない国もあります。どの所得が特典条項の対象になるかは、条約で確認ください。

<リスト>

アメリカ

イギリス

フランス

オーストラリア

オランダ

スイス

ニュージーランド

スウェーデン

ドイツ

ラトビア

リトアニア

エストニア

ロシア

オーストリア

アイスランド

デンマーク

ベルギー

クロアチア

ウズベキスタン

スペイン

ジョージア

コロンビア

関連記事

目次