質問その1
当社は米国法人X社の日本子会社Y社です。
現在、親会社である米国法人X社から社員が5ヶ月の予定で、派遣されております。
給与は親会社である米国が直接その社員にアメリカの銀行口座に支払っています。親会社から派遣された社員のお給料は日本では課税しなくて大丈夫でしょうか?
質問その1の回答
米国法人X社から派遣された社員は、日米租税条約15条に規定される短期滞在者となりますので、免税となります。
なお、社員に支払う給与は国内で源泉徴収されませんし、「租税条約に関する届出書」の提出も必要ありません(提出の必要があるのは、日本支店(外国法人)である場合に限られます)。
詳細 短期滞在者の免税要件(日米租税条約の場合)
- 滞在期間が課税年度または継続する12ヶ月を通じて合計183日を超えないこと
- 給与等の支払者が、勤務が行われた締約国の居住者でない雇用者であること、又はその者に代わる者であること
- 給与等が、役務提供地にある支店その他の恒久的施設によって負担されないこと
ご質問の場合には、次の(1)~(3)の日米租税条約の短期滞在者の要件を満たしておりますので免税となります。
(1) 国内の滞在期間は5ヶ月である (183日を超えていない)
(2) 給与の支払者は米国法人X社である
(3) 米国法人X社が給与の負担者となる
(日米租税条約15条)
質問その2
当社は米国法人Y社の日本支店です。昨年9月から5ヶ月間の予定で来日し国内の業務に従事しておりました。
しかし、滞在期間が3ヶ月間延長され滞在日数が183日を超えることになりました。
短期滞在者の免税の扱いはどうなるのでしょうか。
質問その2の回答
社員の日本国内での滞在期間 は183日を超えますので、短期滞在者の免税の要件を満たさなくなります。
しかし滞在期間は1年以下ですので、非居住者に該当します。所得税法第161条第1項第十二号に規定する非居住者に対する国内において行う勤務の対価に該当します。したがって税率は20.42%になります。
昨年の9月に遡及して20.42%の税率により所得税を源泉徴収しなければなりません。
非居住者の定義は以下をご参照ください。

▶(要注意)短期滞在者免税の滞在日数の計算について
租税条約による短期滞在者免税の要件1つである滞在日数の183日の数え方ですが、租税条約によって様々です。国によって183日の数え方が異なりますので、必ず租税条約を確認してください。
1 暦年中の滞在日数が183日を超えないとする条約
【締約国名 イタリア、インドネシア、ヴェトナム、カナダ、中国等
2 継続する12ヶ月を通じて183日を超えないとする条約
【締約国名】 アメリカ、イギリス、オーストラリア、オランダ、シンガポール等
条文の書き方 「当該課税年度において開始又は終了するいずれかのいかなる十二箇月のいずれかの期間においても、滞在する期間が合計183日を超えない」
本件の検討結果
社員の滞在期間は昨年9月からの8か月ですので、継続する12ヶ月を通じて滞在日数は183日を超えることになります。したがって、短期滞在者免税は適用できませんので、昨年の10月に遡及して20.42%の税率により所得税を源泉徴収しなければなりません。
質問その3 準確定申告(172条申告)とは
当社は米国法人Z社の日本子会社です。昨年9月から5ヶ月間の予定で来日し国内の業務に従事しておりました。給与は米国法人X社が、その社員の米国の銀行口座に支払っております。
しかし、滞在期間が3ヶ月間延長され滞在日数が183日を超えることになりました。
短期滞在者の免税の扱いはどうなるのでしょうか。
回答
米国法人Z社の社員は、日本での役務提供の対価の部分を給与所得として確定申告し、日本で納税します。
解説
非居住者に対し国内において国内で勤務した対価である給与の支払をする者は、その支払いの際に20.42%の税率により源泉徴収する必要があります。
ご質問の場合は、米国の親会社が国外で社員に給与を支払っています。したがって源泉徴収する必要はありません。
したがって、給与の支給を受ける各人が日本での役務提供の対価の部分を給与所得として確定申告し、日本で納税することになります。
これを「準確定申告(172条申告)」といいます。所得税法172条で規定されているからです。
なお、非居住者ですので、税率は分離課税の税率 (20.42%)となります。






