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(国際税務)絶対に理解したい居住者/非居住者の判定

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目次

国際税務にあたって、居住者と非居住者の判定を間違えるのは大惨事です。

非居住者であれば、日本国内の所得のみが課税の対象になります。しかし居住者であれば、全世界の所得が課税の対象になります。税負担額が全く異なってきます。

居住者とは、「国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて 1 年以上居所を有する個人」をいい、非居住者とは「居住者以外の個人」をいうと規定しています。

居住者か非居住者かは、「国内に住所又は現在まで引き続いて1 年以上居所を有するかどうか」によって区分されることになっています。国籍は関係ありません。

より詳細な定義はこちらをご参照ください

大事なポイントであるのにかかわらず、その基準は非常にあいまいです。それは現行の法律が悪いのですが、ただその法律に基づいて、居住者の判定をしなければなりません。居住者と非居住者の判定をする際に、弊社がヒアリングしていることをまとめました。

(なお居住者の定義はそれぞれです。本記事はあくまで所得税法など税法上の定義を解説する目的であり、外為法など他の法律は対象外です。)

(1)滞在日数

多くの租税条約で183日ルールが設けられています。

勘違いが多いのですが、租税条約の183日ルールは、会社員の方が短期出張に出た場合の税金について定めたものです。あくまで短期出張者のための特例です。

184日滞在していて、残りの181日は他国に滞在していれば、居住者として認められるか?というと、そうではありません。滞在日数はとても重要ですが、一つの要素にすぎないのも事実のようです。

例えば、滞在日数に2倍以上の差があれば、その滞在日数が多い国で居住者として認定される可能性が高いでしょう。しかし、滞在日数にそこまでの差がないのであれば、以下の(2)から(5)の要素も踏まえて総合的に判断されることになるでしょう。

なお、年に数度はパーマネントトラベラーの方からの質問を受けます。

「自分はいずれの国の滞在日数も100日以下なので、したがってすべての国で非居住者だ」と。

残念ながらその主張は認められないでしょう。どこかの国で居住者であるはずだというのが、日本の税務の大前提だからです。滞在日数で判断できない場合には、(2)から(5)の要素を総合的に判断することになります。

(2)住所

所得税法には、住所に関する規定はありません。所得税基本通達 2-1《住所の意義》に「法に規定する住所とは各人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定する。」との定めを置くのみです。

「国内における住所の有無」が争われた神戸地裁昭和 60 年12 月 2 日判決は、「住所の意義」について、「各人の生活の本拠」をいうものとされました。住所の有無については、“生活の本拠”の特定になります。“生活の本拠”とは、その者の生活に最も関係の深い生活の中心を言います。その場所に住んでいる必要性があり、客観的に見ても合理的と判断できる場所です。

住所の証明にあたっては、住んでいたことがわかる一定の固定した施設である必要があります。賃貸物件である必要はなく、ホテルでもサービスアパートメントでも良いと思います。そこで継続して居住し、生活していたことを証明する必要があります。たとえば水道光熱費の支払状況や郵便物などで証明することがあります。

(2)-2 (国際相続)相続での”住所”

話はそれるのですが、国際相続が発生した場合でも、住所の判定は大事です。所得税と相続税でほぼ住所の考え方は同じなのですが、一部違うところがあります。相続税では以下の者は日本に住所があるとされます。

①学術・技芸の習得のために留学しており、日本にいる者の扶養存続となっている者

(所得税では、1年以上の留学であれば原則としては非居住者になります(所得税施行令15条)ので、相続税は違います)

②国外において勤務その他の人的役務の提供をする者で国外におけるその人的役務の提供がおおむね1年以内であると見込まれる者

③国外出張、国外興行などにより一時的に日本を離れているに過ぎない者

(3)仕事・職業

どこの国の仕事をしているか、というのは一つの判断要素になります。東京高裁令和元年11月27日の判決によると、職業活動の拠点の所在の判定は、実際の就業状況により判断するべきとされています。

両国で仕事をしているということも考えられます。その場合には、どちらの国の仕事の方が重要かなどの観点も必要になります。もちろん仕事をしていないことも考えられます。その場合には、(3)は判定にあたって大事な項目ではありません。本当にケースバイケースですが、仕事の状況は居住者の状況を判断するための一つの要素であるのは間違いありません。

(4)家族やそのほかの親族の状況

海外に単身赴任されている方など、非居住者であることが明らかな場合には、家族やそのほかの親族の状況が問題になることはありません。

しかし、判断に迷うケースにおいては、家族やそのほかの親族の状況が判断要素になることもあり得ます。疎遠な親族であれば判断要素になることは無いでしょうが、生活に密接に関連している家族や親族の生活状況は判断の一つに要素になりえます。

(5)財産や資産の所在

居住者の判定において、財産や資産が確認されることがあります。

居住者として主張する国の銀行口座にほぼ残高がなく、かつ口座に動きもないのであれば、その国で生活していたと主張するのは難しいかもしれません。

なお財産や資産がどちらか多いかということではありません。財産・資産が少ない方の国であっても、その資産規模が生活するにあたって十分であれば、居住者であることを否定されるものではありません。

(6)他国での確定申告状況

税務調査でよく聞かれることです。

「日本の居住者でないというのであれば、相手国の確定申告書を見せてください。」

例えばアメリカであれば、非居住者の確定申告書はForm1040NRですが、Form1040NRで申告していたのであれば、「あなたはアメリカで非居住者として申告したのであれば、日本の居住者ではないですか?」と指摘されます。

日本の居住者でないと主張するためには、別の国で居住者として申告していることは重要な要素です。

本記事を作成するにあたって参考にした他の判決を下記に記載しておきます。

最高裁平成23年2月18日第二小法廷判決(武富士)

(7)最後に

本日は居住者・非居住者の判定にあたって、弊社がヒアリングしている事項を紹介しました。ただこれで十分ではありません。先日も、「いつから居住者になるのか?」という質問を受けて、それも一つ難しい論点です。プロビタス税理士法人は国際税務に関する個人所得税の申告の実績が豊富にあります。もし興味がございましたら、お問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

この記事の執筆者

片山 康史

税理士 / 中小企業診断士

プロビタス税理士法人代表。 「自分の知識と経験で皆を幸せに」をモットーに、税務の問題を解決する情報を発信しています。外資系企業向けの国際税務が得意です。