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【日本の不動産を有する海外在住の方向け】賃貸料に源泉徴収が必要?

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目次

(本記事で紹介するのは賃貸料のみであり、不動産売買は含まれません。売却に関してはこちらをご参照ください。)

コロナがあけて、外国人が投資目的で日本のマンションやビル等を購入する動きが活発化しています。弊社でもご相談が多く寄せられています。

その中で典型的なスキームが、いわゆる“サブリース”です。外国人にとって、日本国内の不動産の管理が困難です。そこで日本の会社が一括で一旦借り上げたうえで日本人に転貸する形が採用されます。弊社へのご依頼の中でも一番多いです。

外国人オーナーに事業用として国内不動産の賃借料を支払う場合、外国人オーナーから一括で借り上げる日本のサブリース会社が、源泉徴収義務を負うので注意が必要です。

源泉徴収の有無については非常に煩雑ですので、以下にまとめました。

なお外国人オーナーと書いていますが、日本に住んでいない日本国籍の方も含まれますので、ご注意ください。

源泉徴収義務の有無

“国内不動産の貸付けによる対価”について、非居住者や外国法人に対して支払をする者は、法人・個人を問わず、支払の際に20.42%の税率で計算した所得税等を源泉徴収しなければなりません。

ただ、国内不動産の賃借料の支払すべてが国内源泉所得に該当するのではなく、居住用で借り受けるものは、国内源泉所得から除かれます。(なおニセコなどのリゾート地の別荘は居住用には該当しないと考えますので、源泉徴収が必要です)

国内源泉所得に該当して源泉徴収が必要な場合

日本の法人が国内不動産を、外国人など非居住者等オーナーから一括で借り上げる場合は、居住用であったとしても源泉徴収が必要です。

日本の法人が国内不動産を一括で借り上げる目的は、ご自身が居住するためではなく、 転貸 という不動産事業のはずです。サブリースの会社が非居住者オーナーに支払う賃借料は、事業用で支払うものとして国内源泉所得に該当するため、サブリース会社は源泉徴収義務を負うことになります。転借人が国内不動産をどのような用途で借り受けるかは関係ありません。

外国人オーナー物件で源泉義務が免除される場合

実務上、我々は経験がないのですが、税務通信に面白い記事が掲載されていたので、ご紹介します。

我々にご依頼があるのは、賃貸が始まってからの場合がほとんどで、このようなアドバイスができる場面はかなり限られる印象ですが。

(以下引用)

原則、外国法人等オーナーの国内不動産を借りる者が、日本国内で賃貸借契約に基づく賃料を支払う場合、その賃料は国内源泉所得に該当する(居住用目的の賃料は除外)。したがって、借主は、20.42%の税率で計算した所得税等を源泉徴収しなければならない。

一方、例外としてオーナー側から源泉徴収の“免除証明書”の提示を受けていれば、源泉徴収義務が免除される。免除証明書とは、オーナーが日本国内に恒久的施設(PE)を有しているなど一定の要件を満たした上で、所轄税務署長に必要事項を記入した申請書を提出する場合に、所轄税務署長からオーナーに交付されるもの。

外国法人等オーナーは、借主に源泉徴収義務があることや、免除証明書の存在について知らないケースが多く、源泉徴収漏れが生じやすい。源泉徴収漏れを防ぐ観点から、関与する税理士等は、オーナーに対して免除証明書の取得についての助言を行い、借主は、入居前にオーナーに免除証明書の提示が可能かどうかの確認をしておくとよいだろう。

なお、例外の要件を満たさず、原則に基づき源泉徴収義務を負う借主については、所得税法上、属性が限定されていないため、借主が非居住者等であったとしても、源泉徴収義務を負うことに変わりない。

(引用終わり)

この記事の執筆者

片山 康史

税理士 / 中小企業診断士

プロビタス税理士法人代表。 「自分の知識と経験で皆を幸せに」をモットーに、税務の問題を解決する情報を発信しています。外資系企業向けの国際税務が得意です。