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海外に住んでいる相続人の相続の必要書類は?戸籍?

目次

身内に不幸が起こりました。相続の対象となる親族(配偶者や子供)は海外に住んでいる非居住者。そのような場合の相続はとても大変です。なぜ大変かというと、必要な書類がとても特殊だからです。必要な書類や手続きについて簡単に紹介します。

(1)はじめに

相続において、一番最初にやるべきことは相続人の確定です。

人生はそれぞれです。結婚や離婚、出産や死別・失踪など…。相続の際に、相続人は誰なのかを最初に確定する必要があるのです。税理士をやっていると色んな人生を目の当たりにします。

日本の場合には戸籍があります。日本国民である場合には、戸籍法にともづいて戸籍が存在します。戸籍を調べることにより、相続人を確定することができます。

でも戸籍がない場合があります。

戸籍がない場合 その1

    日本から出国して、海外在住した場合、出国後に結婚・離婚していてもわかりません。出国後の動向はわからないのです。

    また海外で帰化してしまった場合には、日本国籍が抹消されますので、戸籍から抜けることになります。このような場合には戸籍はない状態になります。

    戸籍がない場合 その2

    外国人が日本に定住している場合です。来日する前のことがわかりません。誕生日や婚姻関係がわかりません。たとえば外国人の配偶者に相続が発生した場合、戸籍がないため、相続人の確定に時間がかかることがあります。

    (2)海外に在住している相続人の必要書類

    海外在住の相続人がいる場合は、住民登録がないため、印鑑証明書や住民票の代わりに署名証明書や在留証明書が必要になります。また、外国籍の相続人がいる場合は、日本の戸籍謄本がないため、戸籍謄本以外で被相続人との関係を証明できる書類が必要です。この書類は国によって異なり、出生証明書や婚姻証明書、宣誓供述書などがあります。外国語で記載されている場合は、日本語訳を添付する必要があります。

    詳細を以下で解説します。

    在留証明

      海外に居住している相続人の場合、現地の公的機関が発行する在留証明書(Residence Certificate)や住所証明書が必要です。この書類は、現地の日本大使館や領事館で取得することも可能です。

      署名証明書

        遺産分割協議書の際には印鑑証明が必要になります。でも印鑑証明がない場合がありますので、印鑑証明に代わる書類はいわゆるサイン証明です。相続人が海外にいる場合は、署名後に署名証明書(Signature Certificate)を現地の日本大使館または領事館で取得する必要があります。

        パスポートのコピー

        • 海外に居住している相続人のパスポートのコピーが求められる場合があります。特に、身元確認のための本人確認書類として使用されることがあります。

        外国の公的書類の翻訳

        • 海外における出生証明書、死亡証明書、婚姻証明書などの公的書類が必要になる場合があります。これらの書類が日本語でない場合は、日本語の翻訳(公証翻訳)が求められることがあります。

        納税管理人の届出書

        • 相続人が日本国外に居住している場合、日本の税務署に対して納税管理人の届出書を提出する必要があります。納税管理人は、相続手続きや税金の支払いを代行する日本国内の代理人です。

        口座凍結解除のための書類

        • 被相続人が日本国内に銀行口座を持っていた場合、その口座の凍結を解除するための書類も必要です。これは通常、金融機関ごとに異なりますが、相続人全員の同意書や、遺産分割協議書が求められることが一般的です。

        税務関連の書類(国外資産がある場合)

        • 海外資産が相続対象に含まれている場合、その資産に関する評価書や証明書、現地の税務申告に関連する書類が必要になる場合があります。また、日本の税務署に対して、国外財産に関する申告が求められます。

        (3)海外に在住している相続人の必要書類 連絡が取れない場合

        まれにですが、海外在住の相続人で、連絡が取れない場合があります。ご子息は海外に住んでいて、日頃は全く連絡を取っていなかったけど、ご両親が突然死してしまったような場合です。

        海外に在住している相続人で連絡が取れなくなった場合、以下の方法があります。

        外務省や大使館

          その相続人が所在している国はわかっているものの、その所在が確認できない場合、外務省領事局海外法人安全課に調査依頼することができます。またその国の大使館に連絡を取ることも必要かもしれません。

          どうしても連絡が取れない相続人

            家庭裁判所に不在者財産管理人の選任をしましょう。

            不在者財産管理人の概要は以下の通りです。

            https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_05/index.html

            あるいは家庭裁判所に失踪宣言を申し出てはいかがでしょうか?失踪したからと言って相続権が喪失することにはなりませんが、何もしないよりは良いかもしれません。

            (5)最後に

            相続人の方が海外にいる場合は通常の相続税申告よりもやる事が増えて、とても大変です。書類の作成一つをとっても、とても時間がかかります。現金を相続した場合に、海外送金も面倒です。

            国際相続は非常に複雑な分野であるため、日本国内で対応できる税理士は決して多くありません。また、日本国内だけではなく、現地国のエキスパートと連携が必要になり、足並みを揃えて手続きを行わなければなりません。さらに、日本の相続税には期限が設定されているため、悠長に構えている時間はありません。

            当事務所では、国際相続でお悩みの方のサポーターです。海外が関連する相続が発生した場合には、お気軽にご相談ください。海外移住している方や帰国を考えている方が安心していただけるサービスをご提供いたします。

            この記事の執筆者

            片山 康史

            税理士 / 中小企業診断士

            プロビタス税理士法人代表。 「自分の知識と経験で皆を幸せに」をモットーに、税務の問題を解決する情報を発信しています。外資系企業向けの国際税務が得意です。