相続税の外国税額控除に係る国税不服審判所の判例をご紹介

海外資産を相続した際、多くの人が期待するのが「外国税額控除」です。これは、現地で払った相続税を日本の税金から差し引くことで、二重課税を防ぐ仕組みです。

しかし、ここにも大きな罠があります。裁決事例(平成20年4月17日)をもとに、その恐ろしいリスクを見ていきましょう。

https://www.kfs.go.jp/service/JP/75/33/index.html

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「アメリカの資産=国外財産」とは限らない?

外国税額控除を受けるための絶対条件は、その財産が法律上で「国外にあること」です。しかし、この「どこにあるか(所在地判定)」のルールが非常に厄介です。

  • 銀行預金:その預金口座がある「支店」の所在地。
  • 株式:その発行会社が設立された場所。

なぜ二重課税が起きてしまったのか

この裁決事例では、相続人が海外の遺産税を支払ったにもかかわらず、日本での控除が認められませんでした。

理由は、日本の法律における「所在地判定」のルールにより、対象の資産が控除を受けられる「国外財産」の定義から外れてしまった(あるいは計算上の制限にかかった)ためです。つまり、「海外にも相続税を払い、日本にも1円の減額もなく税金を払う」という最悪の二重課税が発生したのです。

2. なぜ税務署(および審判所)は認めなかったのか?

ここがこの裁決の最も重要なポイントです。

  • 日本のルール: 外国税額控除ができるのは、「その財産が法律上で『国外にある』とみなされる場合」に限られます。控除規定が「当該国外財産についてその地の法令により相続税に相当する税が課せられたときは」と規定されているからです
  • 預金と株式の所在地の判定: * 預金: その預金を受け入れた「銀行の営業所」の所在地。
    • 株式: その株式を発行した「会社」の所在地。

今回のケースでは、外国税額控除の対象になるのは海外の銀行や会社に対する資産でしたが、実は「被相続人と相続人の両方が日本に住んでいた(無制限納税義務者)」ため、相続税法上の財産所在地の判定ルールにより、控除の対象外(または制限がある)と判断されました。

この記事の教訓

「海外の相続税だからすべて日本の外国税額控除の対象になる」という考えは危険です。 日本の相続税申告において、その資産が「国外財産」として認められるかどうかを事前に精査しておかないと、手元に残るはずの遺産が税金で消えてしまうことになりかねません。

相手の国の相続税の制度まで把握している必要があります。

とても怖いと思ったのでご紹介させていただきました。

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