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外国人を採用する時に検討すべき事項(特に外資系企業の場合の社会保険や税金)

国際税務ならプロビタス税理士法人。
外資系企業で100件以上の実績。
日本の企業、特に外資系企業が外国人を初めて採用する際に、あらかじめ考えなければならないことを網羅的にまとめました。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
目次

外国人を採用することになると、知らないことが多く発生するもの。外資系企業の本社勤務の社員が日本に派遣される場合、いわゆるエキスパット(ExpatやExpirate)と言いますが、そのようなエキスパットを採用する場合に検討が必要なことをまとめてみました。

ただ我々は会計事務所ですので、ビザ取得などは専門外になります。詳細は専門の方にお問い合わせください。

(必要なもの一つ目)ビザ

日本で就労するためにはビザが必要です。

弊社はビザは専門ではありませんので、詳細は入管法を専門とした行政書士にお尋ねください。

もちろん弊社でも信頼できる専門家をご紹介することができます。

(必要なもの二つ目)社会保険

外国人であっても、日本で給与が発生している場合には、社会保険に入らないといけません。

社会保険の支払実績は、就労ビザ更新のための要件だと聞いていますので、間違いなく支払ってあげたいものです。

基本的には日本人と同じですが、外国人特有の論点として、以下のものがあります。

(必要なもの二つ目)社会保険独特の論点…社会保障協定

  1. 二重加入の防止
  2. 年金加入期間の通算

上記を目的として、日本と諸外国の間で社会保障協定が締結されるようになりました。

社会保障協定を締結している国は、2020年9月現在、ドイツ・イギリス・韓国・アメリカ・ベルギー・フランス・カナダ・オーストラリア・オランダ・チェコ・スペイン・アイルランド・ブラジル・スイス・ハンガリー・インド・ルクセンブルク・フィリピン・スロバキア・中国)の20か国(発効済み)です。ただ協定の中身は国別にそれぞれ違うようです。

派遣の期間が5年を超えないことが重要ですので、社会保障今日の適用の有無に関しては、エクスパットのアサインメントレター(Assignment Letter)などで確認する必要があります。

(必要なもの二つ目)社会保険独特の論点…脱退一時金

短期間日本に在住し、日本の年金制度(国民年金・厚生年金・共済組合)に6か月間以上加入して帰国する外国人に対して、払い込んだ保険料の額に応じて一定額が払い戻される制度をいいます。

Lump-sum Withdrawal Payment といい、社会保険の保険料の掛け捨て防止を目的に作られた制度です。

(必要なもの三つ目)外国人の確定申告の必要性

外国人に関して、確定申告が必要でしょうか?という質問をよく受けます。

日本法人で採用し、お給料も日本法人の支払のみであれば、年末調整で課税は終了します。特に確定申告の必要はありません。

しかし、外資系企業の場合には、株式報酬を受け取る場合があります。

上場会社の場合には、親会社から株式の付与がされるケースです(RSUやストックアワードと言います)。

非上場企業、特にベンチャー企業の場合には、ストックオプションの場合もあります。

日本法人からの給与以外の給与があれば、それは確定申告をしなければなりません。

(必要なもの四つ目)外国人従業員への様々な支援(非課税となるもの)

外国人の方が、日本に来て仕事をするというのはとても大変なこと。

日本人と同じ条件で働いてください、というわけにはいきません。

日本人従業員より優遇された条件を提示することも多いです。

ただ原則として、本来本人が負担すべきものを日本法人が負担をすれば、その負担した金額は給与課税の対象となります。

給与課税にならないものは以下のものくらいで、極めて限定的です。

①ホームリーブ

過去にホームリーブについてまとめていますので、こちらをご参照ください。

②ご子息の教育費

来日した外国人社員の子供たちは、日本ではインターナショナルスクールに通うことが一般的です。その場合、当該外国人社員が勤務する日本企業が、インターナショナルスクールへ寄付を行うことにより、その子供たちの授業料が免除になるケースがあります。

 本来は、その外国人社員が個人で負担すべきものであり、経済的利益として所得税が課税されるのが原則です。しかし、その経済的利益発生の経緯等から、実務では、課税されない運用がされないのが一般的と考えます。過去には、課税しないという通達も存在していました。

こちらもご参照ください。

③社宅

社宅を提供する場合にもあるかと思いますが、一定額を従業員が負担していれば、給与課税はありません。これは日本人に社宅を提供する場合と同じです。

④語学研修費

ご自身や家族の日本語レッスン費用を会社で負担する場合には、給与課税されることはありません。

⑤引越費用

日本に引っ越ししてくるために要する費用を、日本法人が負担する場合、給与課税されることはありません。(ただしあまりに高額な場合は、その限りではありません)

(必要なもの四つ目)外国人従業員への様々な支援(課税となるもの)

上記で紹介したもの以外は、原則として課税となるものばかりです。

代表的なものが税金です。日本は税金が高いので、日本の税金を負担してくれ、というリクエストはよくあります。

税金を日本法人が負担する場合、原則としては給与課税になります。ただし、本国と日本との税金の差額だけを負担する形、いわゆるタックスイコーライゼーション(Tax Equalization)という解決策があります。

その他

アサインメントレターでよく我々が見かける項目を以下に列挙します。日本法人が外資系企業親会社から外国人を受け入れる場合には、以下のことを網羅的に考えた方が良いと思います。

  • 渡航費用
  • 渡航費用負担(家族を含むか否か)
  • 引越費用
  • 日本来日後に、外国に残す住居や荷物の費用負担
  • 語学研修
  • ホームリーブ
  • 傷害保険
  • 健康診断費用
  • 各種手当

最後に

弊社は税金の専門家ですが、VISAや社会保険の専門家とも連携して、なるべく金銭的な負担が小さく、そして外国人の方が安心して日本で暮らせるようにサポートしていくことを目指しております。

ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

この記事の執筆者

片山 康史

税理士 / 中小企業診断士

プロビタス税理士法人代表。 「自分の知識と経験で皆を幸せに」をモットーに、税務の問題を解決する情報を発信しています。外資系企業向けの国際税務が得意です。