- バックオフィスのコストを抑えたい
- 顧問税理士が国際税務に詳しくない
- 税理士が英語対応してくれない
- 会計事務所に質問しても、すぐに答えが来ない
税務署から税務調査の連絡が来た。想像するだけでも嫌な気持ちになりますね。お尋ねや資料せんだけでも憂鬱でしょう。それは税理士である我々も同じです。何を聞かれるのだろう、どれだけ持っていかれるのだろう…不安になります。
しかし外資系企業の税務調査には、調査されるポイントはどの会社も同じです。特に小規模な外資系企業、従業員数で10名以下の規模であれば、ほぼ同じです。事前の準備が立てやすく、準備さえきちんとできていれば恐れるに足りません。
外資系企業には税務調査が入りやすい?
弊社では過去に100社以上の外資系企業の申告を担当し、そして約30社の税務調査を担当しました。国際税務に関する税務調査について多くの実績がございます。その実績を踏まえて、一般的に外資系企業に税務調査があった際にポイントとなる事項をご紹介いたします。 国税庁が公表している”平成30事務年度 法人税等の調査事績の概要”において、国税庁が注力している分野として大きく3つ挙げられています。この注力している分野に該当していると税務調査の対象になる可能性が高くなる、と言えます。
- 海外取引法人等に対する取組
- 無申告法人に対する取組
- 消費税還付申告法人に対する取組
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/hojin_chosa/pdf/hojin_chosa.pdf 外資系企業はこのうちの2つ(海外取引法人等に対する取組、消費税還付申告法人に対する取組)に該当することが多く、結果として外資系企業の税務調査は多くなる傾向があります。それでは個別に外資系企業の税務調査のポイントについて紹介していきます。
売上について
どのような税務調査であっても、売上の計上は一番大事な注力ポイントです。それは外資系企業であっても同じです。 売上がきちんと計上されているなんて当たり前と思われるかもしれません。でもまれにそうでもないこともあります。親会社の経理担当者にとって、日本法人はひとつの支店くらいの感覚であることが多いです。しかし日本法人は支店ではありませんので、親会社との取引などにおいても一つ一つ売上を計上する必要がありますが、親会社の経理担当者は日本法人に売上を計上する重要性を認識していないことが多いです。結果として、日本法人に適切な売上が計上されず、後の税務調査において、売上の計上モレを指摘されることがあります。 ただし、税務調査の場において、売上が全く調査されないことがあるのも、外資系企業への税務調査の特徴の一つでしょう。小規模な外資系企業であれば、多くの場合コストプラス方式による売上の計上をしていると思います。コストプラス方式の場合、あまり税務調査で売上が問題になることは多くありません。 私の経験でいえば、そのコストプラスの利率(コストプラスレート)が税務調査の場において問題になったことはありません。コストプラス方式の場合、コストプラスの対象となる経費について税務調査官と議論になることが多いです。これは契約書において、事前にコストプラスの対象になる経費を明確に定義しておき、その契約通りに売上を計上していれば大丈夫です。 したがって、不要な税務のリスクを避けるためにも、小規模な外資系企業においてはコストプラス方式による売上計上をお勧めしています。
経費について 特にグループ会社間の取引
外資系企業の税務調査において一番時間が割かれるのがグループ会社間の取引(Intercompany transaction)でしょう。国際税務においても重要な論点です。 グループ会社間の取引においては、別表17(4)に記載することで法人税申告書で確定申告しているはずです。その事前情報を基に税務調査が行われます。特に”海外のグループ会社への支払いは適正か?”という観点での調査になります。 例えば、子会社の管理費用や本店配賦経費として、海外親会社から日本法人に請求することがあります。その管理費用や本店配賦経費について議論になります。もし経費が過大であると指摘されると海外法人への寄付金としてその全額が否認されることになります。もちろん管理費用のみならず、それ以外のグループ会社への支払いについても綿密に調査されます。 なお過大という意味でいうと、実態があるかどうかというのは当然の観点なのですが、海外法人の場合には移転価格の観点もあります。取引価格は第三者間取引と同水準になっているかというのも重要な観点になります。
源泉所得税
海外への支払いという観点では源泉所得税も注意が必要です。海外への支払いのうちに、利子や配当、使用料(ロイヤリティ)などが含まれていれば、原則として源泉徴収が必要になります。もちろん事前に租税条約の届出書が提出されていればこの限りではありません。税務調査においては、その海外への支払いについて源泉所得税が必要になるかが議論になります。
会計基準の違い
JGAAPあるいは日本の税法基準による会計帳簿の作成が望ましいです。しかしながら、USGAAPやIFRSで帳簿を作成していることもあります。小規模な外資系企業であれば、あまり影響がないのかもしれませんが、それであっても固定資産関連(償却年数など)や棚卸資産の評価、ストックオプションの処理などにおいて違いがありますので、日本の税法基準による税額計算がされているかの調査が行われます。
海外からの出向社員(エクスパット)に関する税務
海外のグループ会社の社員が日本法人に出向にくる場合においても、給与の支払いや家賃などの経済的利益に対して適切に源泉徴収されているかが確認されます。 契約関係でいえば、出張、出向、転籍または人的役務提供なのかを、書面で明確にしておくことが望まれます。 税務調査でいえば、下記のポイントで調査されます。・対価として支払う金額は妥当か・人的役務提供事業に該当し海外のグループ会社に法人税・消費税の申告義務が生じないか・源泉徴収の必要はないか・租税条約の有無・内容はどうなっているか・短期滞在者免税規定はどうなっているか・所得税の確定申告は必要か・出向役員ならば株主総会決議や出向契約書があるかや定期同額にしているか・海外のグループ会社のPEとされる業務に該当しないか・外形標準課税の報酬給与の額に含めるか・所得税・社会保険料も考慮した手取り額を計算するためのグロスアップ計算が適正か・生活費の一部を会社で負担する場合の給与所得課税対象となる経済的利益の範囲が適正か・社宅家賃を損金算入するための徴収の処理・海外親会社から日本法人へチャージバックされる本社立替払い給料の処理 海外出向社員が適正に日本で確定申告をされているかも併せて調査されることもあります。場合によっては、その出向社員の本国での確定申告について調査が及んだ経験もあります。 外資系企業では人事担当者がグロスアップ計算を担当するため、役員報酬の定期同額に関する検討が漏れているケースが多く見受けられます。エクスパッツに関する支払いについては、発生の都度その課税の要否を判断し、課税もれのないように注意する必要があります。
海外親会社が発行しているストックオプションやRSU
海外親会社でストックオプションを発行しており、その出向社員がそのストックオプションを付与されていると、海外親会社のストックオプションの支払調書を提出する必要があります。2012 年度の税制改正により、外国法人である親会社の日本子会社等の役員や従業員が、親会社との契約により付与された権利に基づき経済的利益を受けた場合には、日本子会社が当該経済的利益に関する調書(「外国親会社等が国内の役員等に供与等した経済的利益に関する調書」(別表第9(3))の提出を義務付けられることとなりました。それはストックオプションのみならず、RSUも同様です。 日本法人におけるストックオプション費用(新株予約権費用)の処理は悩ましいことが多いです。なるべく適正な処理を心がけ、税務調査官に説明ができるようにする必要があります。
消費税について
売上のところでも申し上げましたが、小規模な外資系企業の場合、売上はコストプラス方式によって計上されることになります。その場合、そのコストプラス売上は消費税的には免税売上になりますので、消費税は還付申告になります。 税務調査の場においては、消費税の処理が問題になることが多いです。架空仕入れや経費の水増しなどは論外ですが、そうでなかったとしても、海外で帳簿を作成している場合、消費税の処理の多くが間違っていることが多いです。これは海外において消費税はインボイス方式による確定申告なのが一般的ですが、日本では帳簿保存方式による確定申告(借受消費税と仮払消費税の額により納税額を計算)ということもあり、海外の経理担当者が日本の消費税を理解しきれないためだと思います。 日本の消費税は難しいし特殊です。海外で帳簿を作成するのではなく、日本で帳簿を作成することをお勧めしています。
海外取引は筒抜け?「非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度」とは?
「非居住者に係る金融口座情報の自動的交換」とは、各国の税務当局が、自国に所在する金融機関等から非居住者(個人・法人等)が保有する金融口座情報(氏名、住所、外国の納税者番号、口座残高、利子・配当等の年間受取総額等)の報告を受け、租税条約等の情報交換規定に基づいてその非居住者の居住地国の税務当局との間で情報交換をする制度です。 日本においては、平成27年度税制改正で上記自動的交換のための報告制度の法整備が行われ、2017年1月1日に施行されました。今後は、2018年9月までに、外国の税務当局への情報提供が開始されるとともに、外国の税務当局からもその国の金融機関等にある日本居住者の金融口座情報の提供が開始されます。 この制度により、日本の税務当局は、日本の居住者が外国に保有する金融口座情報を幅広く入手できるようになるため、外国金融機関を利用した脱税や租税回避行為の把握・防止を進めることを目的とされています。 国外送金等調書とは?「国外送金等調書」とは、国外への送金および国外からの送金を受領した金額が100万円超である場合に、金融機関から税務署に提出される法定調書です。
プロビタス税理士法人の税務調査対応サポート
いままで外資系企業に特有の税務調査の論点をご紹介してきました。ただ実際には、これらの外資系企業に特有の論点だけではなく、期ズレや給与計算など、普通の指摘事項にとどまることも多くあります。海外の人にとって、税務調査というのは恐怖を感じるものだと思います。外資系企業の税務調査において大事なことは、海外の経理担当者の方に丁寧に説明して、適正な処理をしてもらうことだと感じています。 プロビタス税理士法人では、過去において多くの外資系企業に対する税務調査に対応してきました。もし現在の顧問税理士の先生や会計事務所の対応に満足していらっしゃらないのであれば、お気軽にお問い合わせいただければと思います。 まず初めに状況をヒアリングさせていただいたうえで、具体的な対応策について検討していくことになります。初回のヒアリングについては無料で対応させていただいております。当然に守秘義務は厳守ですので、安心してお問い合わせください。
お客様の声
ご検討にあたりプロビタス税理士法人に寄せられた、税務調査に関するお客様の声をこちらからご確認いただけます。
ご覧になっていただきありがとうございました。
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