昨今、大人気の外貨建生命保険。多くの問い合わせを受ける商品の一つです。(なおプロビタス税理士法人は保険代理人ではないので、一切の保険販売はしていません。お客様に特定の生命保険をご案内することはありません。)
もとはその予定利率の高さが人気の要因でしたが、現在の歴史的な円安にともなって、特に米ドル建生命保険は非常に人気があるようです。
外貨建生命保険の税務上の取り扱い(個人版と法人版)を税理士が解説します。
外貨建て保険のメリットとデメリット
予定利率が高いため、日本円の保険にくらべて高い利率が保証されており、支払う保険料も安くなります。仮に解約することになったとしても、解約返戻金が高くなります。
デメリットの一番大きいのは為替リスクです。2024年時点では円安ですが、これが未来永劫続くわけではありません。もしかしたら円高になってしまうリスクは考えておかなければなりません。
また日本の一般的な生命保険に比べると管理手数料などの見えないコストは割高のように思いますので、我々がお勧めことはありません。
個人向け(確定申告の取り扱い)
以下、外貨建生命保険の取り扱い(個人版)です。
確定申告は以下を参考にして処理することになります。なお金融類似商品に該当する特殊な生命保険もありますが、今回は説明を割愛します。
法人向け
以下、外貨建生命保険の取り扱い(法人版)です
保険金が損金算入可能な生命保険はほぼなくなってしまいました。外貨建だからと言って、国内向け日本円建生命保険と取扱いは変わりません。
法人向けの注意点(為替換算)
一点注意点としては、日本円への換算についてです。
外貨建生命保険は外貨建て債券に該当し、かつ1年以上保有する長期保有目的に該当すると考えます。その場合には、法定の換算方法は発生時換算法を採用するものと考えます。つまり、決算時に為替差損益を生じさせる必要はありません
ただ為替換算に関する届出書を出している場合にはこの限りではありません。届出書を提出することで期末時換算法に変更し、含み益を計上することが可能かもしれません。
最後に
生命保険は、”もしも”のために加入すべきものです。ただ残念ながら、保険勧誘人による過剰な勧誘により、「生命保険は財務強化に有効だ」や「外部貯蓄に有効だ」と信じ込んで、必要以上に生命保険に加入をしている事例をよく拝見します。
「その勧誘している勧誘人のお給料はどこから発生しているのか?」を一度考えてみましょう。生命保険に加入するよりは、税金を支払って内部留保を厚くした方が、結果として負担額が小さくなるかもしれません。
我々は生命保険を活用した「もしも対策」は最小限にすべきと考えています。もし生命保険を勧誘している税理士がいれば、そんな税理士とは手を切るべきだと思ってます。
ちなみに、本記事はあくまで日本の保険会社が提供している生命保険が対象になります。また個別の保険の取り扱いについては、保険代理人にお問い合わせください。