ロイヤリティの料率は何パーセントが妥当ですか?その質問に答えます。

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とある東証一部上場企業の経理部の方から質問を受けました。

質問 

「弊社は海外に子会社を持っています。タイとインドネシアとベトナムなどに海外進出しています。いまそのうちベトナムからはロイヤリティをもらっています。料率は5%です。なぜ5%なのかはわかりません。昔から5%でしたし、なぜ5%かの記録はもう残っていません。でも税務調査で指摘を受けたことはありません。

インドネシアは今年は黒字になりそうなので、今年からロイヤリティを徴収しようと思います。5%でいいですか?」(進出国や料率はすべて正確ではありません)

世の中の会社は使用料(ロイヤリティ)として何パーセントをとっているのだろうか?海外子会社からのロイヤリティ料率は何パーセント?

ロイヤリティの料率の相場というのはあるのでしょうか?

ちなみにロイヤリティというのはなんでしょうか?詳しくはソフトウェアの使用料、ロイヤリティに係る税務で解説していますので、詳細をご参照ください。

ロイヤリティというのは非常に広い概念です。たとえばブランドや会社名の使用料などはロイヤリティの代表例です。

ではブランドで分かりやすいのは何かを考えれば、ディズニーかもしれません。なぜディズニーかというと、私がミッキーを好きだというわけではなく(笑)、オリエンタルランドという会社が上場しており、有価証券報告書のなかで、ロイヤリティの料率が確認できるからです。

複数の事業年度を見ると、だいたい6~7%で推移しているようです。(ロイヤルティの支払額を売上高を割った比率になります) 

その情報を、その とある東証一部上場企業の経理部の方に話をすると、”うちのブランド料はディズニーほどの価値はないから、じゃあ5%でいいですねー”とおっしゃいました。でも残念ながらそんな簡単ではないのです。

料率を考えるにあたって、ロイヤルティの対象を考える

移転価格事務運営要領3-12において(2019年10月時点)、ロイヤルティの対象が明記されています。

調査において無形資産が法人又は国外関連者の所得にどの程度寄与しているかを検討するに当たっては、例えば、次に掲げる重要な価値を有し所得の源泉となるものを総合的に勘案することに留意する。イ 技術革新を要因として形成される特許権、営業秘密等ロ 従業員等が経営、営業、生産、研究開発、販売促進等の企業活動における経験等を通じて形成したノウハウ等ハ 生産工程、交渉手順及び開発、販売、資金調達等に係る取引網等 なお、法人又は国外関連者の有する無形資産が所得の源泉となっているかどうかの検討に当たり、例えば、国外関連取引の事業と同種の事業を営み、市場、事業規模等が類似する法人のうち、所得の源泉となる無形資産を有しない法人を把握できる場合には、当該法人又は国外関連者の国外関連取引に係る利益率等の水準と当該無形資産を有しない法人の利益率等の水準との比較を行うとともに、当該法人又は国外関連者の無形資産の形成に係る活動、機能等を十分に分析することに留意する。

移転価格事務運営要領3-12

つまりロイヤリティとは、以下の3つであることがわかります。(ちなみに冒頭の会社は、イとロの2つでした)

  • イ.技術に関するもの
  • ロ.ノウハウなどの人的資源に関するもの
  • ハ.組織に関するもの

法律で定められているロイヤリティ料率の計算方法

料率の計算方法で、現実的なもの3つはあります。

①CUT法

CUT法とは、比較対象取引の取引価格を親子間取引に直接使用する独立価格比準法(CUP法)の考え方を、無形資産取引(ロイヤリティ料率など)に適用する方法です。

CUT法は親子間の無形資産取引と高い比較可能性を持つ第三者間取引を見つけることができた場合に適用可能な方法ですが、適用可能なケースは限られます。使用許諾開始時期、使用許諾期間、独占的か非独占的か、技術者派遣の有無、使用許諾された販売地域等の使用許諾の条件等が一致していないと、流用することができないという国税不服審判所の裁決結果が出たためです。参考:http://www.kfs.go.jp/service/JP/79/28/index.html 

②CP法Cost法

無形資産を獲得するために要したコストを算定し、適正なマークアップ率を加算する方法。最低限日本の親会社のコストを回収することを日本の税務署は重視しているようです。

③TNMM(取引単位営業利益法)

類似企業を選んで、適切な料率の範囲を導き出す方法になります。

では料率は何パーセントが適切なのか?

それではいただいた質問の中で、私がどのように回答したかをご紹介します。

上述の料率の計算方法の中で、①のCUT法の適用は現実的ではありません。③を適用するためには、会計事務所に多額の費用を払うことになります(弊社はリーズナブルに対応しますが)。したがって、②のCP法で計算してみてはいかがでしょうか?と案内しました。

ロイヤルティの対象となる資産の獲得に要した費用を算出します。それをたとえば20年間にわたって回収すると考えた場合に、きちんと回収できているか?を考えます。

ロイヤリティ料率は、2国間のお金の取引を全部見ないとわからない

日本の親会社のコストを回収することを日本の税務署は重視しているようです。

したがって、税務の観点から見ると、料率はあまり重要でなく、どれだけトータルで投資回収できているかが大事です。ロイヤリティとして回収しているもの以外に、別に投資回収しているのであれば、別にロイヤリティの料率は低くても構わないことになります。

したがって、ロイヤリティの料率が何パーセントがが適切かを答えるのは難しいのです。 あと注意点として、進出先の国においても現地における移転価格税制があるので、現地の会計事務所との調整も必要になります。

なぜ税務署は何も指摘したことがないのか?

恐らく税務署は、ロイヤリティの料率が5%が適切かという観点では考えていないのではないかと思いました。2国間の取引を洗い出して、きちんと海外から投資回収ができているという印象を持ったから何も指摘しなかったのだと想像しました。

“もしかしたら5%は高すぎるのかもしれないですね”と伝えました。

“海外子会社が黒字になったからロイヤリティを回収する”のは良いか?

結論だけですが、寄附金として指摘される可能性があると思いました。ロイヤルティを徴収するかどうかの判断基準として、黒字か否かというのはよく聞く話ですが、それは適切ではありません。

仮に赤字であったとしても、倒産する恐れなどがないのであれば、ロイヤルティの対象となる取引がある(会社のブランドを使っているなど)のであれば、ロイヤリティを徴収すべきです。いままでなぜ徴収をしていなかったのかの理屈を考える必要があるかもしれないですね、と伝えました。

ご覧になっていただきありがとうございました。